自炊代行による著作権違反の問題点について

作家らが自炊代行業者に対してそれを取りやめることを目的とした質問状を出した件に対して、「書籍の自炊の問題点(代行含)」と言う記事を書きました。

この件に関してはこれ以上書く気はなかったのですが、以下の状況だったので野次馬根性で続きを書こうと思い筆をとってみます。ダウンロード法で今話題ですんで。(そっちはそっちで調査中)

この件に関して漫画家である佐藤秀峰さんが日記にて「自炊代行について。」というタイトルの記事を投稿しています。
また、この記事はガジェット通信で取り上げられてもおります。

さて、この件について実の所、「岩崎夏海」さんが自身のブログで反論をしています。

岩崎夏海さんの主張は・・・・・・・

そもそも代行業者にとっては、裁断し、スキャニングするのは何も出版社から出版された書籍類だけでなく、卒業文集や著作権フリーの古書でも良いわけです。家庭でつけている家計簿でも良いですし、古くなって溜まった日記、昔の手帳や授業ノートだろうが、形態は問わないからです。
代行業という職業を認めないと言う事は、それらも一切認めない形となり、それはそれで不自然でしょう。
ですので原告者は、「俺たちの作品を複製するな」としか主張できないわけです。

さて、この手の最大のポイントは代行業は依頼者の私的複製の範囲に含まれるかどうか?といった点でしょう。
また、違反行為に当たる場合、「著作権違反に問われるのは誰?」と言う問題があります。
原告側は代行業者に白羽の矢を立てています。
「使用する者が複製することができる」と定められており、ユーザーが複製する場合は問題ないが、代行業者は“使用する者”ではない――――と判断された場合、「権利のない者に複製を依頼した側」が違反者となるのか、「複製を依頼された側」が違反者となるのか、それとも両方が違反者となるのか?と言う点を注目しています。

著作権のある物を複製」で他に「代行」されているものでなにがあるかな?と考えて思いついたのは、「デジタルプリント」です。ようは写真屋さんなんかですね。

他にも何かあるかな?と考えて思いついたのが、ニコ動やユーチューブといった動画サイト。
この場合、複製作業を行ったのはうp主になりますが、複製品の公開代行は動画サイト側で、視聴側へ複製品を提供(動画データの送信)しているのはサイト運営側です。

ダウンロードやキャッシュなど、様々な言葉を使いますが、基本はコピー元からコピー先への転写作業を、作業形態によって言葉を使い分けているにすぎず、やっていることは複製に変わりありません。

DropBoxやグーグルドライブ、Yahooボックス、Nドライブといったオンラインストレージサービスはどうか?
結構難しいですね。容量が割り当てられているとはいえ、HDD自体はサーバー運用者側の持ち物です。
提供されている管理ソフトで、ユーザー側のHDDとサーバー側の容量間でミラーリングするタイプだと、ソフトが「複製作業をユーザーに変わって代行している」という解釈が成立します。
Winnyの製作者が裁判で勝訴した背景から見ると、とりあえずサービスやソフト提供者は大丈夫そうです。

ただし、ダウンロード法案の中にある「リッピング」ソフトの制作と公開すると違法扱いになるという話があります。
これが本当に正になった場合、上記のサービス提供側がサービスを提供すること自体が違法になる懸念は残ります。

違反だと主張する側の気持ちもわかりますが、一つ言えることは、これらのサービスを提供する側を責めることはできないという事です。殺人に使われるから包丁は作るな、武器になるからボールペンのような尖ったものは売るなというのと一緒です。サービス提供側が出来ることは、顧客の倫理やモラル及びコンプライアンスを順守してくれると信じることのほか、今回の自炊代行で言えば、顧客がネットなどで(著作権者の利益が損なわれるような)データを配布しないという同意書を得るくらいじゃないでしょうか?