基軸能力の概要−記憶

 経験した物事を留め、忘れず覚えると言う意味です。経験値と、表現される項目も、突き詰めればこの能力による物が大きいと言えます。

記銘
 辞書的な意味は、記憶の第一段階で、経験内容を覚えこみ、定着させること。銘記。
 メモ帳に記銘する。という刻印に近い意味での記銘ではなく、もっと不安定的な記銘です。
後述の保持とかぶりますが、記銘されたデータは劣化し減衰し、やがては消滅します。これは肉体的な意味合いも持ち、「昔は出来たが今は出来ない」などと表現されるように、以前できていた事が、ある一定の期間それをやらなかった為に、体がそれを忘れて以前と同じことが出来なくなる。と言う事です。

 ゲームでこの能力が表現される物は少なく、そのほとんどが知覚などの意識系能力で代用表現されているようです。プレイヤーの記銘能力に依存し、キャラクターの記銘能力に頼らない物もあります。
 実際のゲームで表現されている物の多くは「記憶術」などによる技術で表現されているようです。また、記銘の能力を知恵と同一視するゲームも存在します。
 この能力をゲームで表現する場合、「暗記術」「記憶術」などに分類される後天的な能力―――つまり技能による物と、「物覚えのよさ」などで分類される先天的な能力―――つまり素質による物の二つが考えられます。
 前者は技能であり後者は能力として表現されますが、得られる効果にそれほどの差はないと考えられます。
 表現の第一に、成長率の高さとして表現する可能性を持ちます。能力的なものなら得られる経験点が1.5倍。技能であれば1.2倍。両方取得なら2倍。と言う風に表現する方法があります。
 記憶から呼び起こす判定となると、再生能力の範疇なので、この能力ではそれらの範囲による効果もボーナスもないとします。
保持
 辞書的な意味は、記憶の第二段階で、記銘された経験内容が量的には減少し質的には変容しながらも残存・維持される過程。把持。
保持に関しては、情報の上書きや別の情報との競合、変質なども含まれます。
 
 この能力をゲームで表現している物は皆無と言えます。ほぼすべてのゲームは、記銘した情報はそのままの形状を保ちつづけるとし、適切に再生(知識・知覚)できるかどうかの判定を行う事はあっても、保持しつづけているかどうかの判定はありません。
 しかし、別の意味で表現しているゲームは少なからず存在します。つまり、保持ではなく忘却に関する判定やルールです。
 
 この能力をそのままの形状で表現するのは非常に難しいと思われます。
 
 ゲーム的に表現すると言うのであれば、精神能力の最大値と言う形でしょう。それは、脳の許容量が膨大であればそれだけ多くの情報を保持できると言う考えが一つあるからです。
 つまり、その個人の持つポテンシャルで表現すると言う事です。それ以外の形で表現するのは難しく、別の形に変形(忘却など)して表現するより他ないようです。
再生
 辞書的な意味は、記憶の第三段階で、記銘され保持された経験内容を再現すること。想起。
 思い出すという行為と似ています。前述したとおり、知覚をふくむ知識や認知はこの能力を介して行使されます。
 ただ、この能力はなにも知覚・知識・認知の能力の一部と言うわけでもありません。
 例えば、「その人にあった事がないのに、あった事がある気がする。初めて会う気がしない」など、記憶の呼び出しに失敗(情報の呼び出しに失敗)して、知覚・認知できなくても、再生には成功している状態などがあります。
「喉の所まで出かかっている」というのも、再生に成功し、知覚に失敗している状態と言えるでしょう。
精神学的にそれであっているかどうかは不明瞭ですが、ここでは差分する為にその様に線引きを行います。

 ゲームでこの能力が表現されてる物はありません(私は知りません)。とはいっても、GMが演出の一環として「彼とは会ったことがある気がする」「彼と会うのは初めてじゃない気がする」と言った表現を行う事は珍しくありません。

 この能力をそのままの形状で表現するのは非常に難しいと思われます。

 ゲーム的に表現すると言うのであれば、スキル(技能)の取得ボーナスなどで表現するのが一つあります。根拠としては、技術はまず模倣から始まる為です。コピーと表現してもかまいません。忠実に再現するというのは、より純度の高い再生を行うも考えられる為です。
 別の方法としては、取得済みのスキルや技能(呪文なども含む)を含む判定を行う場合に、ボーナスを得ると言う方法です。記銘・保持されている情報をより多くより正確に引き出すという意味を持たせた為です。