有益な環境側面の特定って、なに?
審査員からの審査や、コンサルティング会社からのアドバイスの中で良く出てくる「有益な環境側面」について「抽出しなさい・特定しなさい・評価しなさい」とよく言われます。
もちろん、審査員のニュアンスはすべて「するとよい」であり、断言は一切しません。すべて「御社におまかせ」というスタイルを貫きます。
観察事項で記載されるときについても「環境側面の特定に工夫する余地があります」という記載をされ、報告書等からはその観察事項が書かれた背景は見えない形です。
良くわからないので考察してみます。
結論から
「言葉の選択として不十分であるので、意図を明確にしてください」
まず、
有益な環境側面を特定する行為は意味が不明である。何を指摘したいのか分からないので以下のどっちなの?
1.特定されていない環境側面を審査員が発見している。
2.文書化された環境側面の特定方法では、規格の要求を満たしていない。
1であれば「特定されていない」と判断した根拠を示してもらわなければ、被監査側としても対応できない。
2であれば、特定された環境側面には、視点によって「有害」な部分もあれば「有益」な部分もある。だが、有害か有益か、はたまた無害かどうかなどを分類したり評価する事を規格で要求してましたっけ?
私の見る限り、特定された環境側面が有益か有害かを識別するように要求はされていないんですけどね。
規格で求められている部分は「環境に対して変化を与えているかどうか?」と言う部分のみでは?
さらにいれば、それが組織にとって管理できるか又は影響を与えることが可能かどうか?
予想される環境の変化について、環境と組織とで相互に作用しあう関係が成り立っているかどうか?
もっといえば、環境の変化についても、組織が定めた適用範囲を超える場合は特定する必要はない。
規格要求は、組織が定めた適用範囲の中でと明確に記載されています。
4.3.1 環境側面
a)
環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で、活動、製品及びサービスについて組織が管理できる環境側面及び組織が影響を及ぼすことができる環境側面を特定する。その際には、計画された若しくは新規の開発、又は新規の若しくは変更された活動、製品及びサービスも考慮に入れる。
まぁ、P37の「環境」の用語定義には
参考
ここでいうとりまくものとは、組織内から地球規模のシステムにまで及ぶ
とあるので、環境側面を特定する前の候補の抽出段階では、項目として出てくる奴もありそうですが。
ということで、審査員等の言う「有益な環境側面」は、なんとなくあるんじゃないの?という思い込みで指摘しているケースも多々ある気がします。
この文言を言い出してくる審査員には、要注意及び次回審査からは除外してもらう事をお勧めします。