省エネ製品の経済性

今が旬まっ盛り(?)のLED照明。 次のピークは冬になるでしょう。

さて、これを導入すると「省エネである」ともっぱらの噂。
確かに、LED電球は、一部の製品において蛍光灯型電球よりも、ランプ効率が良いのでエネルギー率が良いのは間違いないし、配光パターンより、取り付ける器具次第では、白熱電球や蛍光灯型電球よりも、照明率の良いデータが取れる。

なので、きちんと製品を比較する場合は、器具をランプを取り付けた状態の「器具光束」から消費電力を割ってやって、初めてどちらがより省エネであるか? どの程度省エネであるかが比較できる。

実際は「保守率」までみた、照度設計をやり直しが必要となり、必要光束量を蛍光灯などと比較すると3割減らしてもよいという結果に目算である。

さて、この時に「省エネだから」といって、LEDに飛びつくのはどうだろうか?

ちょっと待ってほしい。まだ、早計である。

飛びつかなければならない業種というのは存在する。
それは「行政機関、それに付帯する機関」である。

これはLEDに限った話ではなく、日産のリーフや三菱のi-MiEVといった電気自動車も同様。

「価格の高い玩具を、税金を使って導入するのは許されない」
という考え方もある。

しかし、だれも買わなければその事業は成長しない。最悪、既存の製品によって淘汰される。

製品の技術が成熟して価格が下がるまでは時間がかかる。
それまで、そういった物を支え、成熟速度を短縮し、いち早く一般家庭に供給するべく支援するのも、行政及びそれに付帯する機関の役割である。
行政に対する市場規模と、一般家庭や民間企業への市場規模には大きな差がある。税金を使用して高い買い物をしたとしても、一般市場に流れる時には値下がりしており、その差額を計算すれば使用した税金額以上になるのは間違いが無い。

なので、飛びつかなければならないと言う結論になる。
ただし、製品に対する評価はきちんと行う事が必要。ただ買えば終わりってものでもない。

本当に経済的なのかを考えよう。

簡易名称 価格 消費電力 寿命 型式
蛍光灯型電球A  600円 12W 6000時間 EFA15EL12R
蛍光灯型電球B 1300円 10W 13000時間 EFA15EL10H2
LED型電球A 2700円 9.2W 40000時間 LDA9DH
LED型電球B 5500円 9.8W 40000時間 BL10-100/120VE26S(P)
LED型電球C 2800円 10W 50000時間 X10-CJ

今回は、配光及び照明率を考慮していない。その為、ランプ光束が810lm前後の物をピックアップした。

まず、製品が寿命を迎えるまでに消費する電力量を求め、それを金額に換算します。1kwあたり21円で計算です。

簡易名称 電力量 電気代 本体価格との合計
蛍光灯型電球A 72Kwh 1,512 2,112
蛍光灯型電球B 130Kwh 2,730 4,030
LED型電球A 368Kwh 7,728 13,228
LED型電球B 392Kwh 8,232 13,732
LED型電球C 500Kwh 10,500 13,300

この段階でいったん、取付場所の運用状況を見ると言う考慮が必要です。4万時間もつかわねーよ。せいぜい、1万2千時間だよ。
という場合、蛍光灯電球Aの場合は途中で寿命が尽きるのでもう一つ購入する必要があり、総コストは2,112×2=4,224。それに対して蛍光灯型電球Bは寿命13000なので途中交換が無い為、総コストは4,030円から1千時間分の電気代210円を引いた総コストは3,820円となり、蛍光灯電球AよりもBの方が、404円ほど経済的という結果となります。蛍光灯型電球Aは点滅対策対応タイプではないので、実際はもっと早く寿命を迎える為、交換個数2個で済む所が3個になる可能性もありますので、試算値よりも高い経済性を蛍光灯電球Bは秘めているわけです。

というような計算が出来、実施される方なら、これ以上は必要ありません。

ではここから、実際の運用コストも含めて試算をしてみます。
本来であれば最小公倍数を求めて、それぞれの交換回数も含めて〜とするのですが、6千と1万3千の最小公倍数は7万8千。4万と5万の最小公倍数は20万、7万8千と20万の最小公倍数は、、、と、現実的ではない数値になるので、別で算出する事にしました。

箇   所 運 転 範 囲 日運転時間 年間運転時間
廊   下 16時〜24時 8 2,920
門   灯 18時〜06時 12 4,380
リビング朝 07時〜10時 3 1,095
リビング夜 16時〜21時 5 1,825
居   室 18時〜23時 5 1,825

なので、家の運用期間はさすがに5年や10年とかではなく、30年〜60年とかそのくらいの運用も考えられる年数でしょう。といっても、それだと根拠が乏しいので、木造の耐用年数(減価償却年数)でもある22年と根拠としますと、家を建築して償却年数迄に運転する時間を求めると、下記の通り

箇   所 1年 15年 22年
廊   下 2,920 43,800 64,240
門   灯 4,380 65,700 96,360
リビング 2,920 43,800 64,240
居   室 1,825 27,375 40,150

表に15年を入れたのは、電気設備の耐用年数は一般的に15年なので、そちらとも比較できるようにという配慮から記載しています。

数値として出してみると、色々見えてきますね。
居室などは、昼間は点灯しない事を前提としていますが、実際は暗い日もあれば、カーテンを開けずに使用するケースもあるでしょう。
そのあたりも考慮しても、5万時間の寿命を持つ製品を入れれば、交換を必要としなくなると言う事が分かります。

廊下及びリビングも15年あたりで4万時間を超えているので、電気設備の改修を行うタイミングで照明器具も新調する。という計画を立てると好ましいかもしれません。
とりあえず、照明の運用時間と年数から見える事、は置いておくとします。

廊下から(64,240)

簡 易 名 称 単 価 交換回数 総コスト
蛍光灯型電球A 2,112 11回 23,232
蛍光灯型電球B 4,030 5回 20,150
LED型電球A 13,228 2回 26,456
LED型電球B 13,732 2回 27,464
LED型電球C 13,300 2回 26,600


門灯から(96,360)

簡 易 名 称 単 価 交換回数 総コスト
蛍光灯型電球A 2,112 17回 35,904
蛍光灯型電球B 4,030 8回 32,240
LED型電球A 13,228 3回 39,684
LED型電球B 13,732 3回 41,196
LED型電球C 13,300 2回 26,600

リビング(64,240)

簡 易 名 称 単 価 交換回数 総コスト
蛍光灯型電球A 2,112 11回 23,232
蛍光灯型電球B 4,030 5回 20,150
LED型電球A 13,228 2回 26,456
LED型電球B 13,732 2回 27,464
LED型電球C 13,300 2回 26,600

居室(40,150)

簡 易 名 称 単 価 交換回数 総コスト
蛍光灯型電球A 2,112 7回 14,784
蛍光灯型電球B 4,030 4回 16,120
LED型電球A 13,228 2回 26,456
LED型電球B 13,732 2回 27,464
LED型電球C 13,300 1回 13,300


交換時の手間等は考慮していません。
年老いた両親が、天井の照明を交換する危険性についても、プライスレスです。
また、この計算方法はLED照明には“圧倒的に不利”という前提も存在しています。*1
意図的なんですけどね

とまぁ、とりあえずこのような結果になりました。単純に価格が一番安い結果となった物を選択するのが経済的に一番良いというわけです。

最初は製品導入による回収年(償却)について書くつもりだったんですが、前段階の経済性についてで長文になってしまった、、、orz
回収年については、またあらためてと言うことで。

*1:端数の考え方がすべて切り上げで、単価についても購入費及び運用コストも含めた値を使用している為