手順書の意味は?(その3)

本日の議題は前回の「手順書の意味は?(その2) 」の続きです。

今回は手順書を必要とする範囲の話です。

前回及び前々回の中で出てきた手順の想定範囲は、マサ(柾)と審査員閣下とでは大きな食い違いがありました。
マサ(柾)の主張でいうところの手順書は主に現場サイドを想定しており、使用者は主に「現場」側の層です。
しかし審査員閣下が求めた手順書の使用者は、主に「管理」側の層です。

労働層というのはピラミッド型になっていますので、上に行けばいくほど人が少なくなり、下に行けばいくほど人が多くなります。

私はピラミッド中層以上の人たちに対する手順など不要という意識なのですが、、、閣下には通じなかったのが「手順書の意味は?(その1)」となります。


では中層以上に手順書を作る場合の疑問点を考えましょう。

1.少数の人達を対象とした業務手順を労力を割いて定めるか?
2.部署ごとに業務手順は変わる為、手順利用者は一名もしくは二名となる。
3.手順を定める場合、まずは中間管理職用の手順書は中間管理職より上の人が作らなければならない。(下位の職員では管理業務がわからない)
4.組織の部門数分の管理職用の業務手順書を用意しなければならなくなる。
5.管理職はそもそも定常業務であるか?
6.手順書ができれば、実施者はだれがやっても同じになる為、人件費の安い職員に実施させた方がよい。(手順通りいかなかった場合のみ相談)
7.管理系の業務が管理系の業務ではなく一般職員の業務になる。

個人的にはこの問題点をクリアしない限りは中間管理職以上に手順は必要とはしないでしょうという認識です。


次に、必要とするケースについて考えます。
1.業務の請負化の為に手順書を作り、業務工数を算出する根拠とする。
2.手順化することで業務内容を見えるようにし、改善や効率化を図る為の資料とする。
3.事務系の業務をプロセス分析し、管理系の環境側面と著しい環境側面を抜き出す根拠となる資料とする。
4.自分に何かあった場合に業務を引き継ぐため。


1と2は厳密で詳細な内容を求めていないため、「マニュアル」という形式になるほどの物を作らない。というのが一般的ではないかな?と思っております。
造っちゃだめというわけではないのですが、はっきり言って重箱の隅をつつく結果になるだけかと。

3はISO的な考え方で、よく言えば1と2の派生で同じこと。
4については雇われ店長用のマニュアルといった所でしょう。

閣下の主張はこの4番に当たりますが、まず4番の考え方で抜けているのは「手順を遂行するための力量を引き継ぎ者が保持していること」及び「イレギュラーに対応する能力を保持していること」までは手順では保障できません。
管理職がこの二点の能力を必要としないのであれば、私が経営側であれば「やとわれ店長化」させます。
そうでないのであれば、引き継ぎや力量を確保するためのOJTは必要となり、結局時間を必要とする為、マニュアルの整備は意味をなさなくなります。
さらに言えば、マニュアル化できる工程があるのであれば、それこそ疑問点「6」を実施するだけの話です。
以上より、仮に「4」の為の手順書を作ったとしても、業務の品質を維持することを保証できない。という回答であり個人的な主張でもあります。

ぶっちゃけ、そんなの整備し維持する労力は下の人間を育てるのに使えよとw

←前回の記事