アジア太平洋統合評価モデルって、変だよね。 Q2編

Q2: 全国どこでも高効率ヒートポンプ給湯器に転換できるという想定は、 寒冷地が灯油に依存していることを考慮しておらず、現実的ではないのでは?


A2:
「寒冷地が灯油に依存している現実を考慮していない」という指摘は 高効率給湯器=電気ヒートポンプ給湯器という読み違いから生じていると考える。
  住宅用高効率給湯器には電気ヒートポンプ給湯器だけでなく、 潜熱回収給湯器が含まれており、潜熱回収給湯器には都市ガス、 LPG、灯油向けがある。2005年における灯油給湯器の比率は21%としているが、 2020年にはやや減少するもの16%の比率となっている。



これは、質問者の誤解もあります。ただし、意図である所の「現実的でない」は同意であり、16%という数値については疑問です。

まず、質問とは変わりますが、いくつか気になる点があります。


高効率ヒートポンプは、既設の設備を交換及び一部配管ラインの変更と言ったところでしょう。(エアコンの交換みたいな感じ)
ですが、潜熱回収給湯器となると、排水配管とかその辺を大規模に工事することになるので、施工業者によっては水漏れ等のトラブルが多そう(話がずれた)


灯油タイプということで、エコジョーズ(ガス)ではなくエコフィール(石油型)を想定しているんだろうなと思います。




寒冷地の場合、これらの機器をどこに設置するのかな?という疑問があります。
屋外には設置できませんよね? 配管の中の水が凍るから。機器も動かない可能性高いし。
となると、屋内に設置しないとダメですよね。
メーカー見ると、寒冷地対応は全部屋内据置型でした。
大きさは、冷蔵庫よりやや幅が狭い程度でしょうか。


質問者の意図が、この点について「寒冷地を考えていない」という意味では、回答の内容は筋違いになってくる可能性はあります。
灯油タンクは屋外に設置している。機器は屋内に設置することとなる。


屋内の配管をやりかえるってかなり工事が大変(金額的にも)と思いますが、、、、
こればかりは見積もってみなければわかりませんが、寒冷地と非寒冷地とでは、設置する為の費用に差があるという点とスペース的な問題等の課題が多く、別途検討が必要でしょう。


灯油対応製品、寒冷地対応製品があるから良いんだ。みたいな短絡的では評価モデルとしては欠陥ですが、どのような考えなのでしょうね?
灯油をよりたくさん使う地であるから、導入した場合はランニングコストに非常に影響するでしょうが、イニシャルコスト面でのデメリットも考慮して、補助金は寒冷地と非寒冷地及び極寒池で分けるなどの配慮は必要でしょう。
CO2排出量削減が目的なのですから、使用量の多い地域に積極的に導入してもらった方が、少ない投資で大きな効果が得られるのですから。


以上、及び現状の制度・補助金より、まず設置及び改修可能な世帯数は限定される。また、潜熱回収ではMax20%向上ですから、はっきり言って費用対効果を得るには相当量の灯油を使用している世帯に限定される事でしょう。


概算に計算してみます。
設備投入費100万で出来たとして、100万円を回収するには、1リットル100円で計算するとリットル当たり20円の得。100万円を回収するには50KLの灯油を消費しなければなりません。


太陽光発電の場合、20年で回収できれば良なので、それと比較すれば年2.5KL。
ホームセンターで売っている赤い灯油缶は18Lですから、139個/年


さすがに、北海道でもいち家庭でそんなに使うかなぁ?
宮城県に住んでる私でさえ、月に1缶(18L)で5個なんですけど・・・。


この計算結果からみても、質問者の通り現実的ではないでしょ。
仮にイニシャルコストが補助金込で50万でも同様。普通は機械の耐久年10年をベースに計算するので、結果値は同じですし。




やっぱり、このモデルって変ですよね。





話は変わりますが、一つ注意点があります。
ヒートポンプという技術についてです。


 熱交換という技術ですから、奪うべき熱量が存在する事が前提となります。
 寒冷地のように外気温度が低い地域では、奪うべき熱量が少ないという欠点があります。
なので、COP5という製品があったとしても、実測値で計算するとCOPは寒い所に行けばいくほど下がります。


 また、重要な点として室外機であれば外気の熱量を利用するのに対して、室内機では室内の熱量を利用する点です。
廃熱を利用するのであれば気にする問題ではないのですが、廃熱を利用しない又は廃熱以外を利用する場合が問題です。
 熱交換する装置の設置場所が室内の場合、設置部屋の温度が下がります。となると、壁の熱貫流率が悪い場合、壁から逃げる熱が増大します。


 外壁部分の断熱対策はしていると思いますけど、内壁部分の断熱対策は十分にされていなければ効率は非常に悪いと言わざるをえません。


なので、私としては部屋の熱を外に逃がさない方が、費用対効果が高いと考えています。
なぜなら、機械じゃないので機器寿命10年とかに縛られない及び設備維持費もなし(メンテナンスフリー)なので、十分回収できると考えられるからです。