アジア太平洋統合評価モデルって、変だよね。 Q3編
今回は結論を先送りします。
Q3: 次世代自動車以外が販売禁止になると、 日本がこれまで培ってきたエンジン自動車に関する技術の衰退を招くだけではなく、 生産を支える部品産業自体の衰退を招くのでは?
A3:
「エンジン車の生産が海外移転する」とあたかも次世代自動車は すべて電気自動車であるかのような指摘になっているが、 乗用車における電気自動車の比率は▲20%削減ケースでも2020年の販売ベース約2割である。 また、87%(修正後88%)は乗用車の販売ベースの普及率であり、 貨物車は2020年でもほとんどが従来型のエンジン車である (次世代車普及率は2020年販売ベース16%で、電気自動車はその一部のみ)。
そもそも次世代自動車とはなんぞや?という部分の定義付けからでしょうか。
省エネセンターで、次世代自動車に関して以下のような資料が公開されていました。
次世代自動車の普及に向けて
この中で、次世代自動車の対象は以下の通りとなっています。
本施策で普及対象とする次世代自動車は、電気自動車(EV)、ガソリンハイブリッド自動車(ガソリンHV)、プラグインハイブリッド自動車(ガソリンPHV)、ディーゼルハイブリッド自動車(ディーゼルHV)、ディーゼル代替天然ガス自動車(ディーゼル代替NGV)、クリーンディーゼル自動車(CDV)燃料電池自動車(FCV)である。
EV、ガソリンHV、ガソリンPHV 及びFCV については、軽自動車・乗用車の市場、ディーゼルHV、ディーゼル代替NGV 及びCDV については、貨物車・バスの市場での普及とする。
回答で、販売ベースの普及率について述べられているが、省エネセンターでは以下の通りとなっている。
次世代自動車の普及は、2020 年時点で保有ベース(ストックベース)1,350 万台、保有シェア19%、販売ベース(フローベース)230 万台、販売シェア42%(乗用車市場では60%)、保有ベースの約6 割、販売ベースの約半分をガソリンHV 乗用車が占めている。2050 年では保有ベース3,400万台、保有シェア54%、販売ベース280 万台、販売シェア57%となっている。2020 年における次世代自動車の販売台数は、乗用車は2 台に1 台以上のペース、重量車はクリーンディーゼル自動車を含めると100%が次世代自動車の販売となる。そのペースで2050 年に次世代自動車は6割弱の保有台数となる。
同時に以下の表も合わせて参照
2020 | 2030 | 2050 | ||||
販売台数 | 保有台数 | 販売台数 | 保有台数 | 販売台数 | 保有台数 | |
EV軽自動車 | 34 | 140 | 45 | 380 | 44 | 550 |
EV乗用車 | 17 | 67 | 28 | 210 | 26 | 330 |
ガソリン HV乗用車 | 110 | 800 | 120 | 1,180 | 110 | 1,350 |
ガソリン PHV乗用車 | 35 | 130 | 63 | 500 | 62 | 780 |
ディーゼル HV重量車 | 5 | 14 | 5 | 46 | 7 | 77 |
ディーゼル代替 NGV重量車 | 5 | 17 | 5 | 51 | 8 | 84 |
クリーンディーゼル重量車 | 29 | 180 | 27 | 260 | 18 | 270 |
次世代車計 | 234 | 1,348 | 291 | 2,627 | 275 | 3,441 |
全自動車計 | 550 | 7,249 | 510 | 6,870 | 480 | 6,320 |
次世代自動車シェア(%) | 43 | 19 | 57 | 38 | 57 | 54 |
バイオエタノールの供給量(万 kL/年 ) | 104 | 124 | 124 |
これらをみると、半々といった所でしょうか。
前提として理解しておく必要があるのは、日本の財政、経済を支えているのは自動車産業である事い部分です。
それを元に、上記のデータがそれなりに信用できるという前提ですすめます。(実はこれも突っ込みどころがあるんですけどね)
質問者の心配事は、「技術の衰退」「産業の衰退」の二点でしょう。
生産量が減少すれば、産業はそれに伴い衰退します。生産量が見込めなければ、メーカーが本来費やす研究開発は中止等され、技術の衰退を招きます。
今回の回答及び上記数値からみて、それは起こりうるのか?がポイントでしょう。
まず、保有台数は無視してよいでしょう。維持メンテで部品の産業市場に影響はありますが、ここで重要なのは「新規購入分」だからです。
表から見てとれるのは、HV車を含めた次世代車の販売台数はほぼ横並びで増えていないという点です。
まぁ、次世代車以外販売禁止なのに、なんで全自動車計と数値が違うのか、またその差は二倍以上開きがあるのか不明すぎですが、、、、
ともかく、自動車産業のシェアの半分を次世代自動車が占めるが、その50%近くはガソリンエンジンを搭載したハイブリットなので、ガソリンエンジン搭載は自動車産業の7割近くを占め続けるので問題はないというのが結論でしょう。
以上、問題なしというのが結論であり、むしろガソリンエンジン以外の部品も市場に出るので、部品市場は3割減少するが、その分モーターやバッテリーといった産業の活性化になると思われます。
この結論は、データを信用した場合の結果です。
私個人の感想は、全然違います。ここからは私の感想となります。統計学なんて学んでませんので、勝手な感想です。
一家に一台、から、個人に一台。固定電話から携帯電話になったような感じで、車も同じような傾向だと思います。
という事は、市場はこれから数倍は潜在している。とこの部分を見れば考えられる事でしょう。
しかし、現在の日本の人口推移をみてみると、右肩下がりです。母数が減っているわけです。一人一台でも人が減れば市場も縮小せざるをえません。
まぁ、車検制度を取りやめて、自動車税を撤廃し、登録時に車庫証明を不要にすれば、一人二台でも三台でも持つことになり、用途に合わせて複数持つ家庭が増えるんでしょうが。
話がそれました。続けます。
その母数についても、多くは高齢化世代であり、この高齢化世代の割合は増え続けます。これは確定事項です。
高齢者、ずっと車に乗り続ける事が出来るわけじゃありません。中には施設に入る人もいるでしょう。ぼけて免許を停止もあるでしょう。
さて、では統計ではどうなっているのか?
総務省のページを見てみます。
http://www.stat.go.jp/data/nihon/g0302.htm
平成20年の段階で「127,692,000」、約一億三千万人です。平成47年で「110,679,000」の一億一千万人になっています。
1.3割減少となります。
現在の自動車登録数はどうなっているでしょう?
自動車検査登録情報協会のページを見てみます。
http://www.airia.or.jp/number/index.html
平成22年の段階で「75,557,798」だそうです。七千五百台。
おお、少なくとも、潜在市場として現状は5千5百台、平成四七年でも3千5百はあるんですね。
ああ、でも18歳未満は普通自動車の免許は持てないから、そこは数値から除外しないといけませんね。
ですが、総務省のページだと15歳未満からの数値しかない。仕方がないのでそれを代用するとして、約10%。一億一千万の10%は千百万人。
潜在市場は二千四百となりました。
つまり、一人一台が可能であれば2.5千万の市場が眠っているということになりますか。
潜在やったら顕在も必要だよね。
顕在市場は7千五百。人口が1.3割減少するから、それに合わせて減らすとして六千五百万の減少ですかー。
つまり、一人一台の時代にならなかったら、市場は縮小するわけですね。
さて、省エネセンターの表を見ると、2050年の保有台数は6320万台となっているから、たぶん「一人一台」ではなく現状の値を基準に人口変動率をかけた物っぽいですね。
ただまぁ、人口変動率までで、その世代率まで考慮してほしかったかも。
年 | 15歳未満 | 15際以上65歳未満 | 65歳以上 |
---|---|---|---|
平成20年 | 13.5 | 64.5 | 22.1 |
平成47年 | 9.5 | 56.8 | 33.7 |
省エネセンターは割増しで計算してるなw
次に考慮に入れるのは、首都圏のような大都市の保有推移です。で、気になるので以下を調べてみました。
東京都のデータ
年 | 保有台数 | 人口 |
---|---|---|
平成 7年 | 4,584,003 | 11,773,605 |
平成22年 | 4,488,301 | 12,989,726 |
地方だと、車がないと生活できません。しかし、都心は車が無くても生活できます。
つーか、都心は車の維持が大変すぎなのが問題なのでしょうが、、、
15年で約2%程度減ってます。保有台数が。
15年で約一割程度増えています。人口が。
上記を基準に、車一台当たりの利用人数を計算してみると、平成7年は2.6人/台で平成22年は2.9人/台となり、その変化率を基準で平成52年を推移してみると、3.6人/台となりました。
東京だけで日本の総人口の一割を占めますが、、、(上記計算で平成52年の東京人口は一千五百万。保有台数4百三十万台
以上のように、東京の様に人口が増えるけど保有台数が減るという状況も加味すると、自動車産業の市場自体が人口の減少に伴って相当減る計算となります。
(具体的な数値計算はめんどくさいので、やんないです)
若者のバイク離れ、車離れ、軽自動車やプリウスのバカ売れを見ると、車を持てない、車を必要としない、車を買えない人達もまた、右肩上がり(つまり、市場は右肩下がり)であり、現在の経済活動状況及び現在の内閣(政治)状況、及び先行投資の状況をみると、50年で省エネセンターの予測よりも半分以下になるんじゃね?といのが私の感想です。
たぶん、車もシェアが当たり前の時代になってくるんだろうな。