LED照明の普及について
成長速度が著しい(すごい)LEDですが、一般照明の用途として蛍光灯を脅かす存在として代等しています。
様々なニュース記事でも、LED電球といった照明器具を見かけるケースも増えてきています。
では、一般照明は蛍光灯に置き換わるのでしょうか?
まず、LED照明のメリットとデメリットを蛍光灯と比較して、それぞれの用途に合わせた照明器具を考えてみます。
・メリット
1.点灯に強い
2.長寿命
3.光束が減退しない。
4.調光が可能
5.壊れにくい
6.寒さに強い
・デメリット
1.価格が高い
2.設置費用がかかる。
3.電気代はあまり安くならない。
4.熱に弱い
5.密閉器具に対応品が少ない
6.光害(グレア)を感じる。
・その他
1.発光効率
2.点灯方式
3.発光方式
それぞれについてコメントします。
メリット
- 点灯に強い。
- 蛍光灯が点灯(点滅含む)するたびに投入時の放電による蛍光体にダメージを与える。もちろん、放電させ続けるのでダメージを与え続けるのですが、始動時に流れる電流と安定時に流れる電流値には大きな差がある。
ようは、この差で蛍光体に与えるダメージが変わってくる為、点灯一回寿命1時間といわれる所以である。
LEDはダイオードなので電流が流れれば発光する。蛍光灯と同じように起動時に大電流を必要としない為、点灯による寿命の削減なんて言う現象は発生しない。
この為、人感センサーなどと組み合わせるのに非常に有利な照明器具であり、点灯回数の多い場所の照明としては非常にメリットの高い製品となる。 - 長寿命。
-
LEDには理論上の寿命がない。ダイオードである為、定格使用している範囲では壊れる事が無い照明である。
ただし、機械なので機械寿命という物はあります。
例えば、電界コンデンサを使用しているなら、電界コンデンサの寿命が10年くらいでしょうか? まぁつまり、そこが寿命となります。(液晶TVやパソコンにも電界コンデンサが使用されているから、やっぱりそれらの機器の寿命も10年がMAXなんでしょうね)
なので、「点滅回数が多いが点灯時間は少ない」という場所の場合、LEDや蛍光灯よりも「白熱電球の方が経済的であり高寿命」かもしれません。
補足
「LEDの寿命は冷陰管タイプの蛍光灯より短い」という方や、4万時間も持たないという方もいらっしゃいます。
LED照明は使用環境で寿命が変化します。熱に関しては後述しますが、素子が劣化し光束量が減衰する原因として、彼らが総じて主張しているのが「光害」です。 発光体である以上、自らの光で素子を劣化させているので公称寿命よりも短いという物。
ですが、光害について検証されたデータはないというのも事実の様です。 「「光害」があるのは事実だから、検証する必要性が無い」ということらしいですが、可視光の波長域で発光するLEDが、「光害」と呼べるだけの影響を与えている。とは、私は思えませんけどね。 - 光束が減衰しない。
- 実際は多少するでしょう。しかし、どれだけ減衰するか不明というのが正確かもしれません。
これは実測と経験に基づきますが、蛍光灯を使用している環境で、ランプ交換直後と100時間後で、居室の平均照度を測定した経験があります。
結果として、100時間後には平均照度が10%弱減衰していました。
それと比較する為に、蛍光管型LEDを設置した直後と100時間後の平均照度を比較しても、照度の変化はありませんでした。
長寿命であり、蛍光灯のような直線を描かないから、数値として表れなかっただけかもしれません。
しかし、上記で述べたように理論上は減衰しません。
では、メーカーはなぜ寿命を4万時間(光束維持率70%)という記載をしているのでしょうか?
とある蛍光管型LEDを製作しているメーカーの方に聞いた所、照明業界で「えいやー」で決めた値であり、科学的根拠は全くないそうです。
ただし、決められた数値には意味があると考えています。
理由は、「寿命4万時間(光束維持率100%)」とした場合としなかった場合、器具に要求される光束量は3割も違うからです。
これは、照明設計時の「保守率」と呼ばれる値に影響を及ぼす数値となります。
照明設計を行う場合、光束量に照明率と保守率をかけて部屋の照度を決定します。(正確には部屋の照度を決定してから、必要な光束量を求めますが)
LEDの場合、白熱球や蛍光灯と違い、全方向に光を照射しません。
よって、天井設置型や埋めこみ型の製品の場合、蛍光灯器具と比べて照明率が2割程度の差が出てきます。
つまり、蛍光灯の光が「10」必要な場合、LEDは「8」で設計上の照度は同じとなります。
ここに、保守率も加算すると、「5」で同じだけの照度を得られる結果となります。
「発光効率の差から、LEDより蛍光灯の方が良い」という意見もありますが、必要とする光にこれだけの差があれば、「蛍光灯よりLEDの方が良い」という明確な指針となり、蛍光灯を取り扱うメーカーや業者は揃って失業です。
電球と比べて、蛍光灯型LEDや器具一体型のLED照明の値段が下がっていない現状を見ても理解できます。
照明業界が、急激なLEDへの転換を好んでいないので、談合してまずは電球タイプのみとしよう。という働きかけを行っている。その為、寿命についても100%ではなく、70%にして、蛍光灯の方がメリットが高い状態をキープさせている。という状況である。と、私は考えています。 - 調光が可能。
-
PWM制御を行う事で、LEDは安易な調光が可能となっています。
また、調光率によってエネルギーの投入量も比例しますので、蛍光灯の様な「なんちゃって調光」よりも、非常に高い省エネ効果を発揮します。
LEDは調光しても発光効率はほとんど変化しない(どちらかと言えば良くなる方向)のに対して、蛍光灯は調光すると発光効率が非常に変化(悪い方向に)する。からです。 明るさを半分にすれば、LEDの場合は消費電力も半分になりますが、蛍光灯の場合は半分にならずに30%減になっていれば僥倖でしょう。 - 壊れにくい
-
単純に、LEDは部品数が少ないから壊れにくいという結論です。
蛍光灯でもインバータではなく、ラビットやグローも壊れにくいですけどね。
白熱球も強いと言えば強いのですが、、、、衝撃に弱すぎ(割れやすい)が欠点かな。その意味では蛍光灯ランプも同じですが。
デメリット
- 価格が高い
- 高いです。LED電球の値段からみれば、
810lm÷5404円(LEL-AW8N)=0.15/円(1lmあたり7円)
520lm÷1945円(LDA6N)=0.26lm/円(1lmあたり4円)
平均とって、0.2lm/円としましょう。
この場合、LED電球の概算価格は1lmあたり5円となります。
中小メーカーが出している40W蛍光管タイプのLEDの光束量は1400〜1800lmが関の山が現状です。
そこから、価格を求めてみます。
7000円〜9000円
この値段で、1400lm〜1800lmの蛍光管型LEDで売られていますか?実際は、これの2倍から3倍以上で売られていますよね。
「いや、この値段でもあるよ!」
という場合、それって「光害(グレア)」対策されていますか?
積分球でちゃんと光束量を求めた数値ですか?
安全に関する対策は大丈夫ですか?
LEDはPSE法に該当しないので、PSE順法品という表記は意味がなく、ちゃんとJISに則った安全試験を行っていますか?
そういった、ちゃんとした試験を行い、それを公開している「良製品」(製品の品質としては良ではなく当たり前なんですけどね)を販売しているメーカーですか?
それだけの基準をクリアしてなおかつ、その価格ですか?
というのを問いたいです。 それだけの基準をクリアし尚且つ、上記の値段であれば逆に教えてください。どこのメーカーのどの製品ですか?
私の知る限り、LED系の製品は、殆どがぼったくり製品ばかりです。(電球タイプは除く)
まぁ、そういった状況を許しているその物がデメリットという感じとなります。 - 設置費用がかかる。
- 電球の様な交換でOKな製品以外の製品についてです。
既設品を変更する場合、既設設備を取り外して新設備を取り付ける必要があります。一般照明であればOKですが、
埋めこみ型の照明器具だと工事費に5000円、補修費で1万とかいくと予測しています。
既設設備の改造になると、PL法に抵触してしまいますので、お勧めできませんし工事費も発生します。
なので結局は、ランプ交換型製品の登場を待つとなります。
ランプ交換の場合でも、安定器等がある場合は、安定器事態が電気を食いますので省エネとはいえません。
寿命も、安定器の寿命に引っ張られる形となります。
結果、既設設備を取り外してまでのメリットは小さいと言え、ランプ交換型も蛍光灯等の安定器内蔵器具に対応した製品もまた、エコとはいえないという結論となります。 - 電気代はあまり安くならない。
- 一概には言えない部分はあります。白熱電球と比較すれば電気代は安くなります。よって、白熱電球でそれなりに長い時間点灯させる場所であればメリットは高いのですが、トイレ等に設置する分には絶対時間が小さいのでイニシャルコストが高すぎて話にならないでしょう。
また、蛍光灯の発光効率は50lm/w〜80lm/wです。インバータのタイプでも、円管40Wを超えなければ90lm/wにはなりません。
現在市販されているLEDの電球や蛍光灯タイプは上記発光効率の範囲内です。つまり、同様の範囲内にある以上、発光効率による省エネ効果は全くありません。
省エネ効果が無ければ電気代が訳すなる事もありません。
ただし、配光パターンが蛍光灯とは違う為、器具による損失や反射による損失は蛍光灯とは違いますので、設置状況次第では、要求される光束量が小さくて済む状況が発生します。そういった場合のみ省エネ効果が表れます。それでも二割程度となります。
以上より、電気代は一部の環境のみ少しだけ安くなるが、ほとんどの場合は安くはならない。というのが結論となります。
ただし、調光や人感センサーと組み合わせる場合は別とします。 - 熱に弱い
-
LEDに使用されている物質は熱に非常に弱い状況です。
80℃程度で駄目になります。正確に言うと、熱によって結晶構造が変質するという事です。
その為、LED製品は放熱に対して非常にシビアな作りです。また、放電管を含めた電球と比較した場合、非常に重いです。重い理由は排熱の為の放熱板の問題の為です。
よって、製品の使用環境を選んでしまいます。
沖縄といった場所には不向きな製品でしょう。しかし、北海道では向いている製品かもしれません。
低温には強いです。蛍光灯と違って温度による影響(ちらつき等)はありません。
ただし、中の電源ICといったLED付帯の器具が低温で動作するかどうか?がわからないと、「寒い所にも強い」とは言えません。
この辺りは製品の製造毎となるので何ともコメントできませんが、氷点下で動作させる可能性がある場合は問い合わせが必要かもしれません。 - 密閉器具に対応品が少ない
- シャープなどは出していますが、殆どのLED製品は密閉器具に対応していません。まぁ、電球型蛍光灯も密閉器具には対応している製品はあまりありませんが。
この理由は、放熱の問題があるからです。
LEDは熱に弱い製品です。排熱が少ないように設計された製品でも、密閉器具には対応してません。
密閉器具に使用して普通に使えている製品もあるでしょう。
しかし、メーカーが「密閉器具対応」をうたえない理由は、保障が出来ないというのが一番の理由でしょう。
まぁ、実際問題、LEDよりも、中にあるスイッチングICの方が先に壊れるでしょうけど。
なので、お風呂では使わない方が良いでしょう。 - 光害(グレア)を感じる。
- ようは、まぶしくて目がくらむというやつです。見てしまうと、残光が残ります。
光束量が小さくても、蛍光灯や電球と違って面発光ではなく点発光なので点当たりの光りの強さが違いすぎるのが原因でしょう。
大手メーカーのほとんどは、ある程度グレア対策(乳白色のカバーが取り付けてある)されていますが、透明カバーでLED素子が直で見える製品は、視界に入らない場所で使用する(埋めこみ高の深い製品や元々カバーがついているような製品)で使用しなければ、使用に耐えないと判断します。
他にもいろいろありますが、今日はここまでとします。