円高で武田が馬鹿を言う(2/3)

次に、着目すべきは、円高の恩恵を受けるものは「消費」に特化している点です。

消費を支えるのは収入ですから、当然雇用状態が維持されていなければ崩落してしまいます。
(この辺りは厚生労働省も同じ結論になっています)
「物が安く買える」というのも、「生活が安定している」「職にあり付けている」と言う前提が無ければ成り立ちません。

分かり辛いですね。はい。

武田主張は下記図です。

このグラフが成り立つ範囲内での話でしかありません。
この理屈が成り立つのは、国内販売向け製品を製造している業者さんや、輸入品を取り扱っているケースのみでしょう。

細かい所を言えば、国内調達分も円高の影響は受けますけど、ここでは影響は小さいので無視します。


企業側のデメリットの一つとしては、人件費だと、国内の工場では契約社員は時給1000円かかるのに対して、アメリカで雇うと900円で済む。という部分があります。

平均10時間/日で(2時間は残業)22日/月とすると、
(8時間×22日×1000円)+(2時間×22日×1000円×1.25)=
(176,000)+(55,000)=231,000円/月給(日本)
(8時間×22日×900円)+(2時間×22日×900円×1.25)=
(158,400)+(49,500)=207,900円/月給(日本)

計算上、23,100円/人当たりの経費削減が出来るわけです。

これが300人工場だった場合は単純に三百倍の6,930,000円/月=83,160,000円/年

年間八千万の経費削減
なら、アメリカに工場を移転してそこで現地の人を雇った方がいいじゃん。
ってな具合になります。
アメリカで材料を購入すると高くつく?となるなら、日本円で購入してしまえばいいだけです。
材料費を安く購入して、安い人件費で物を作る。企業としてはそういう選択が「必要となる」わけです。

そりゃそうですよね。競争している海外製品が円高の影響で安くなるんですから、国内生産品との価格差が広がり、消費者が安い方を購入する為モノが売れなくなる。となれば、国内生産品も安くする必要が出てくると言うわけです。

自由競争ってのは、良いように見えて実は労働者虐めに繋がるんですよね。世界すべての人件費や品質、安全性、環境影響の評価基準を統一してやれば本当に競争になるんでしょうがw


上記は残業に考え方を日本と同じにした場合です*1
アメリカには残業踏み倒し法案みたいなのもありますし、、、

*1:実際は、社会保障に関する企業負担分及び法人税といった税金関連及び会社ごとの雇用条件の考え方の違いで、上記計算の様にはいかない