クーポンサイトのマーケティングに関して(他含む)、消費者庁より公表あり。


今年はじめでしたでしょうか?

グルーポンのおせち問題で、クーポンサイトの商法が問題になったのは。

で、ようやく先日、消費者庁から下のような好評がなされました。震災があったとはいえ、かなり今皿です。

「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」の公表について

3.フラッシュマーケティング
(1)定義及び概要
フラッシュマーケティングとは、商品・サービスの価格を割り引くなどの特典付きのクーポンを、一定数量、期間限定で販売するビジネスモデルで、平成20年(2008年)頃から登場した。

○ クーポンの発行を希望する店舗等の事業者(以下「店舗等」という。)は、クーポン発行会社との間でクーポン販売に関する契約を締結し、クーポン発行会社は自らのサイト(以下「クーポンサイト」という。)においてクーポンの販売を行う。

○ 消費者は、クーポンサイトにアクセスし、希望する商品・サービスに係るクーポンを購入する。

○ クーポン発行会社と消費者との間のクーポン発行に係る契約は、
① 購入の申込みがあったクーポンの数があらかじめ設定された最低販売数を超え、かつ、当該クーポンの販売期間が終了した場合、又は
② 購入の申込みがあったクーポンの数があらかじめ設定した上限販売数に達した場合
に成立する。

○ クーポン発行に係る契約が成立した場合、クーポンを購入した消費者は、当該クーポンが例えば店舗への来店時に割引サービスを受けられるものであれば、当該店舗に来店してクーポンを提示することで、割引サービスを受ける。

○ フラッシュマーケティングは、「通常価格」などと称する価格と当該「通常価格」にクーポンの利用による割引率を反映させた価格(以下「割引価格」という。)の両方を表示して、当該二重価格表示によって高い割引率を訴求するなどして顧客を誘引することをビジネスモデルの基本としている。ただし、二重価格表示が行われていないものもある。

(2)景品表示法上の問題点
クーポンサイトで、「通常価格」と「割引価格」の二重価格表示が行われている場合において、例えば、クーポンの対象となっている商品・サービスについて、実際には比較対照価格である「通常価格」での販売実績が全く無いことがある。その場合は、一般消費者に当該商品・サービスに係る「割引価格」が実際のものよりも著しく有利との誤認を与え、景品表示法上の不当表示として問題となる。
また、多数のクーポンが発行されている中で、限られた期間内に顧客に訴求するために、実際と異なる表示を行う場合がある。例えば、商品に使用している材料の品質を、実際は人工のものであるにもかかわらず、「天然」などと表示している場合、一般消費者に当該商品が実際のものよりも著しく優良であるとの誤認を与え、景品表示法上の不当表示として問題となる。

(3)問題となる事例
○ クーポンの適用対象となる商品が「通常価格」で販売した実績のない商品であるにもかかわらず、クーポン適用後の「割引価格」を「1,600円」と表示するとともに、「通常価格 5,730円、割引率 72% OFF、割引額 4,130円」と表示すること。

○ クーポンの適用対象となる商品について、実際には養殖の鮎を材料とした甘露煮であるにもかかわらず、「天然鮎を使った高級甘露煮です。」と表示すること。

(4)景品表示法上の留意事項

○ 店舗等は、クーポンサイトにおいて、クーポンの対象となる商品・サービスに係る二重価格表示を行う場合には、最近相当期間に販売された実績のある同一商品・サービスの価格を比較対照価格に用いるか、比較対照価格がどのような価格であるかを具体的に表示する必要がある。

○ 店舗等は、クーポンサイトにおいて、クーポンの対象となる商品・サービスの品質、規格等に係る表示を行う場合には、当該商品・サービスの内容について、実際のもの又は当該商品・サービスを供給する事業者の競争事業者に係るものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認されることのないようにする必要がある。

○ クーポン発行会社は、自らのクーポンサイトに店舗等の商品・サービスを掲載するに際して当該商品・サービスの自らのクーポンサイト以外における販売の有無等を確認し、販売されていないなどの場合には掲載を取りやめるなど、景品表示法違反を惹起する二重価格表示が行われないようにすることが求められる。


二重表示に対して、今後どのように厳しく監視していき、罰則を科すかどうか等は一切公表されていないのが残念です。
行政がやる気が無いとはいえ、これは酷い。

さて、問題になるのはこの「留意事項」でしょう。
留意事項を解釈すると、、、

1.通常価格での販売実績が必要になる。ただし、販売実績のある同等品でもかまわない。
2.対象表品の写真及び表示内容は、正しくあること。または、それ以上の良品であること。
3.クーポンサイトだけの限定販売(景品扱いになる物)は、取り扱ってはならない。

3番目の解釈が難しいので、間違っているかもしれません。
クーポンサイトの独自企画商品はおそらく扱って構わないはずです。
また、店とクーポンサイトとの共同企画商品については、取り扱ってよいと読み取れます。

共同企画商品の取り扱いが、消費者に混乱を与える可能性を残しています。
 この場合、おそらくですが、クーポン会社はこの手の商品を取り扱う場合、クーポン(景品)という形態で販売する事は出来ないと思いますが、、、
いえ、正確ではありませんね。
クーポン会社が共同企画で実施する場合、販売実績数に合わせて店側に売り上げを支払うと言う体制は取れないはずです。
 クーポンの販売数に合わせて、それぞれ店側とクーポンサイト側が等しく取り分を持たなければならない点と、クーポンの販売数に合わせた商品の在庫は揃えなければ、店側及びクーポンサイト共に責任を負う又はクーポンサイト側が責任を負う形になっている必要がある。


となるんでしょうが、、、、おいおい、消費者庁さんよ。本当にこんなので大丈夫か?
「共同企画商品」の契約を禁止した方が確実じゃね?

おそらく、この辺りを抜け穴にしそう。
旅館(温泉)とかになれば、消費原価の曖昧なものはいくらでも誤魔化しがきくし、、、、宿泊者が入浴料無料なデフォなのに、表示価格は何故か入浴料は日帰り入浴客の有料価格が加算されてたり


またこれ、同等品の考え方が難しいですよね。
同じ性能で同じ洗濯機や冷蔵庫が合ったとして、方やメイドインチャイナ、方やメイドインジャパン、方やメイドインマレーシアという場合、どうするのでしょうか?
実は、行政の世界ではこの「同等品」という言葉は良く遣われます。特に入札案件を見たことのある人はなじみが深いでしょう。

天然と養殖くらい違いがはっきりしていれば良いのですが、肉でも「北海道産牛肉相当」や「宮崎牛(*1)」で「*1又は同等品」と表示された場合、オージー牛やアメリカ牛でも「同等品」としてしまおうとすればしまえることになります。
食品安全上、同等の安全が確保された品質を備えていれば、何が問題なんだ?となります。中国産の牛肉で、血統が北海道牛だったり宮崎牛だったりしたらどうします?


とまぁ、かなり抜け穴を探そうと思えば探せますし、行政の監査が実施されるかされないかで、どれだけの効果が発揮できるは非常に不安です。
困ったもんです。
*1

*1:はっきり言って、明確な罰則規定がなければ意味が無いんですよね・・・