環境側面の解釈について
本日は「環境側面」の用語定義の解釈について考察したいと考えます。
規格要求の用語の定義では
環境と相互に作用する可能性のある、組織の活動又は製品またはサービスの要素
と言う形で記載されています。
訳文では「又は」としており「及び」ではありません。
英文では
element of an organization's activities or products or services that can interact with the environment
このように「or」で記載されており「and」ではない。
エキサイトで訳すと下記のように「あるいは」で翻訳された。
組織の活動あるいは製品の要素、あるいは環境と対話することができるサービス
ちなみに「or」を「and」に変えて翻訳すると
組織の活動および製品の要素、および環境と対話することができるサービス
このように、「および」になった事に留意したい。
となると、環境側面の要素は「活動・製品・サービス」からの選択性があるように取れる。
しかしながら、日本規格協会の出している「ISO14001:2004 規格要求事項の解説」では、この部分は以下のように解説している。
3.3 用語と定義 P43
3.3.6 環境側面環境側面の定義及び参考の記述共に1996年度版と変わる点はないが、一つだけ注意しておきたい事がある。それは側面の要素に関する記述である。後からのベルが環境方針の項でも環境側面の項でも、この表現は1996年度版の“活動、製品またはサービス”を“活動、製品及びサービス”に変えた。この場合の表現は、この三者の間に選択性を認めないという趣旨である。所がこの定義分の中ではご覧のように三者の間を“又は”で接続し、しかも1996年度版で“、”で結んであった部分まで“又は”とされている。不思議に思われるかもしれないが、要求の場合には選択を認めない趣旨で“及び”としたが、この定義文は単に側面はこのような要素から成り立っている事を説明しているだけであるので“又は”で結ぶというように使いわけをしているのでこの点をご理解いただきたい。
この解釈本の著者では、規格の定義は
環境と相互に作用する可能性のある、組織の活動、製品及びサービスの要素
これであると主張している。
吉澤氏がその様に記載しなかった説明として「側面はこのような要素から成り立っている」と主張されている。
しかも締めが「ご理解いただきたい」である。
私の主張は「or」のままでよいというものです。
プログラムで記載すると
If 項目 = 活動 or 項目 = 製品 or 項目 = サービス Then
Return 環境側面
else
Return 環境側面ではない
end if
このようになる。
規格解釈本の筆者の主張では
If 項目 = 活動 and 項目 = 製品 and 項目 = サービス Then
Return 環境側面
else
Return 環境側面ではない
end if
このようになる。
筆者の主張が正となる場合、選択性は認められない為、その事業内容が「活動、製品、サービス」がすべて該当しなければならない。一つでも該当から外れる場合は対象外となる。
という解釈が成立する事になる。
さらに噛み砕いてみると
・この定義文は単に側面はこのような要素から成り立っている事を説明している
↓
・この定義文は単に側面は、活動、製品、サービスから成り立っている事を説明している
となり、3つの要素すべて内包していなければ成立しないと主張する形となる。
製品が存在しない学術機関、サービスが存在しない生産工場などは、ISO14001の規格では「環境側面が存在しない」という解釈主張が成立するはずがない。
すべての事業体に適用可能をうたい文句にしているISO14001が、その様な例外を認めるはずがない。
以上より、規格の解釈を出している協会の筆者のこの部分に関する主張は間違いである。
本日は以上で、「組織の活動、製品又はサービス」の意味に続きます。