内部監査 余禄

「独立した環境監査を実施する事により、効果があると見せかけた報告書はどういうものか?」
ある意味これが次の論点(ISO事務局が生き残る為)ではないかなと思っています。

少なくとも、今回は経営上の視点ではなく、担当者の立場及び視点での話となります。

環境マネジメントシステムがISO14001の規格要求事項を満たしているかどうかは、外部の閣下らが審査をして問題がないことを保証してくれています。それを*1年に何度もやるのは馬鹿です。

内部で独立した環境監査を実施するなら、外部の閣下らが実施している審査や、組織で実施している業務監査と同じことをやっても価値はありません。真面目な所長は「人件費に見合った成果を出せ」と言うでしょう。
となれば、少なくとも住み分けは必須です。

また、「内部監査はやればやるほど良い」という誤解を持つ方も多くいらっしゃいます。*2

どちらも、成果報告書である内部監査報告書が充実していなければならないという欠点が存在します。
後者においては従来の成果報告(内部監査報告書)の内容が充実しているとか、一度の内部監査では洗い出しが不十分だとか、そういった事実がなければ本来は成り立たない理屈です。

内部監査の回数を増やすと給料が上がるとか、回数が増えると今の地位が安定するとか、そういった保守的に働くような効果がないのであれば、増やす方向に思考をシフトするのは後ろ向きです。

ISO信者である同僚的の意見
同僚:内部監査の回数を増やさないのは、環境管理に対して後ろ向きな姿勢である(キリ


監査とは何か?を突き詰めれば、システムが規格の要求事項を満たしているとかではなく、
1.業務の為に用意されたリソースを効率的に無駄なく使っているかどうか
2.潜在的及び顕在的にもそれが当てはまるかどうか?
と言う所が到達点となりますので、その到達点さえ抑えておくことができれば、よほどこのことない限り的外れな監査とはならないでしょう。

また、監査を実施する場合は、その業務状況及び形態の根本に「監査の余地がある」という前提が無ければ反発が発生します。
つまり、内部監査を実施する場合はそもそも「トリガーとなる事項」、つまりは大義名分が必要となります。

例えば、製品を製造する工場であれば、年間の報告書の中で「不具合の発生率が上昇している」場合等があります。
他にもある部門の「職員の総残業時間が増えている」や「減っていない」など、状況が「悪い方向に変化するケース」や「状況に変化がないケース」等も十分トリガーとなります

「変化がないケース」とは、本来業務とは熟練すればするほど、一つの業務に従事する作業時間は短縮します。
当然それは業務形態にもよる点はあるのですが、人は慣れる生き物ですから、出入りが激しい部門でない及び業務形態が常に変化すると言う環境でもない限りは、作業時間は着々と短縮される物です。
(当然、ピークはありますが)

「効果があると見せかけた報告書」を作るのであれば、「定められた範囲で内部監査を実施する」と言うトリガーで内部監査を実施するのではなく、内部監査を実施した方が良いと思わせる「トリガー」をベースに監査を実施し、報告書を作成することが必須となります。
結果として観察事項等がなかったとしても、トリガーである「リスク」の調査をした結果、「問題がなかった」と言う報告書は十分に価値があります。

ISO事務局に求められる能力で、内部監査に関する事で最重要項目は「リスクを探す能力」又は「リスクをでっちあげる能力」と言うわけです。

保守的な経営陣にとっては、「利益を上げる」以上に「リスク」に敏感です。
利益が下がれば社畜の給料を下げたりクビにする、調達物品の海外率を上げる等で補填する事で、自らの地位と給料は守られますが、リスクとなると責任をとって自分の首を切られたり辞職するといった、経営層個人にとって不不都合な状況に陥るからです。

会社が多額の賠償金を支払う、顧客離れすら起こすという事態は、*3経営層にとっては二の次なのです。
大会社ほどこの傾向は強いようです。

ですから、「会社の売り上げに貢献する為の内部監査」よりも「リスクをコントロールする為のきっかけとなる内部監査」の方が重要性ランクは高く、ISO事務局が生き残るためにアプローチするのは前者よりも後者と愚考します。

まぁ、ぶっちゃければISO規格なんて、内部監査だろうがなんだろうが、前者に貢献するなんてことはそうそうあるものではないんですけどね。


以上より、「独立した環境監査を実施する事により、効果があると見せかけた報告書はどういうものか?」
と言う物の回答の一つは
「潜在リスクを想像し創造し、顕現する可能性を想像し創造し、創造したリスクの危険性が存在するかどうかを監査し評価する事」
ではないでしょうか? という提案を提示いたします。


うん、ちょっと電波入ってるなw

*1:認証取得当初年や次年度とかならともかく

*2:うちの同僚がまさにこれで内部監査の数を増やそうとしている

*3:社長と言う立場の人はそうはいきませんが