LEDシーリングライトの2012年5月の今!?

前回の記事より以降、様々な製品が登場し、従来の蛍光灯に差し迫る製品なども出てきたかどうか?について、以下の記事に関してレビューします。

まず、結論から言いますと「買いではない」というものです。

では、私が読んだ感想を述べます。

  • 問題点1.照度のはかり方が直下である。

光源から約2mの真下で計測すると、直下の明るさは450lxだった(以降、照度はすべて同じ条件)。以前使っていた蛍光灯のシーリングライトは最大でも300lx弱だったので、部屋全体が大幅に明るくなった感じだ。光は部屋の天井付近から床面の隅々まで行き渡り、部屋全体が明るく気持ちが良い。

直下しか測っていないのに、なぜ全体が明るくなったといえるのか?
なぜ4点法(照明器具が12畳以上の物なので、12点以上の測定点から求めるやり方の方が好ましいかもしれない)などの方法による平均照度で比較しないのか?
メーカーの謳い文句「均一面発光と広い配光特性により、お部屋全体を明るく照らします。」で「蛍光灯よりも明るい」と勝手に判断したの?

  • 問題点2:従来の蛍光灯はなに?

記事に出てくる従来の蛍光灯。そもそもこの蛍光灯の型番やスペック及び、測定時、蛍光灯のランプは新品を使っていたの?それとも中古?

  • 消費電力と明るさの問題

例えば、同じ12畳以上の蛍光灯製品(左ツールバーで紹介している型番だと6畳〜10畳で12畳がないため)

此処では消費電力は「消費電力:75W」となっています。

今回の考察対象の消費電力は「消費電力:73W」となっています。

確かに2W省エネです。

「いや、LEDの方が明るいから蛍光灯に合わせた分だけさらに省エネだよ。」

確かに記事ではその通りで比較しています。
では蛍光灯の方の明るさはどの程度なのか?
製品の紹介(家電ウォッチではなく上のパナの照明の方)では「全光束:8550lm」となっています。器具光束ではないので、これから幾分か落ちるでしょう。
ここからさらに3割〜4割落ちたと仮定します。
器具光速:5130lm〜5983lm(仮)
このような感じとなります。
LEDの方の器具光束は5750lmですから、まぁほぼ同じ明るさとみてよいでしょう。

  • どの辺が省エネなの?

今の蛍光灯でも、調光機能はついていたり、寿命も長く、瞬間とまではいかなくてもかなり早い点灯をします。
しかし、蛍光灯の調光による省エネ効果はLEDほどではありません。
明るさを50%にしたからと言って、LEDのように消費電力が50%オフ*1とはいかないのが蛍光灯です。とはいっても1灯で75Wの蛍光灯の場合、元の出力が高いため、明るさが100%〜60%の間であれば、同程度の省エネ効果があるのではないか?という感じはあります。

昼間の採光を取り入れる為、0%〜40%程度の明るさに調節する。とか、その辺になると運用による差になってくるので、このあたりの省エネ効果については割愛します。*2

センサーで連動すれば、さらに省エネ効果が期待できるでしょうが、この機能についても蛍光灯の方にも内蔵されているので、比較した場合の効果に差があるとはあまり考えられません。

さて、そのうえで「省エネ」を追究するなら「蛍光灯のカバーを外す」という方法があります。(見た目は悪くなりますが)
LEDシーリングライトの場合、カバーを外す(外せるのか?)場合、配光に問題が発生し、均一性が悪くなるためそれはできません。
しかし蛍光灯の場合、全配光の為、カバーを外そうが外すまいが配光はほぼ変わらないとみてよいでしょう。
上の計算で器具光速を3割〜4割と見積もりましたが、カバーを外す場合は1割〜2割程度となり、調光で調節してやれば、常態の消費電力を2割(15W)ほど削減でき、LEDと比較して13W程度の省エネとなる見込みとなります。

  • 記事はなぜあんなふうに省エネ効果があるように見えるの?

比較対象の「従来の蛍光灯」の消費電力が「93W」とありますので、おそらく古い器具なのだと思われます。
蛍光灯シーリングライトでも、ラビット・グロータイプ(「A」とする)よりもインバータータイプ(「B」とする)の方が省エネ効果が高く、さらにインバータータイプでも最新のスパイラルやツインPaタイプの物(「C」とする)はそこからさらに省エネ効果が高いのが実情です。

LED電球でも、蛍光灯型電球と比較せず、白熱球と比較することで省エネ効果が高いように見せかけているのと同じ手法を使っている点です。
この記事の場合は、A〜Cの種類をすべえて「蛍光灯」で一括りにし、おそらくはAタイプの古い蛍光灯をベースに算出している為、省エネ効果があるように見えていると考えられます。

  • 経済効果を考えよう。

以上の記事で、最新のLEDシーリングライトと最新の蛍光灯シーリングライトでは、省エネ効果に差はない(カバーを外さない場合)ことがわかりました。
となると、今度は経済効果の比較となります。

現状(5月20日)のAmazon調べです。
LED:24,743円
蛍光灯:14,907円+4,200円
LEDの寿命は4万時間で、4万時間の運転を基準とすると、蛍光灯の寿命は2万時間なので、ランプ交換は1回となります。
4万時間運転した場合の省エネ効果によるランニングコストの差は年間でもおそらく200円行くかすら怪しい状況*3ですので、差はないとします。
以上より、LEDを選択した場合、5,636円ほど余計に出費することとなります。
「色調」の為に、それだけ余分に出すかどうか? という所がポイントでしょう。

カバーを取った場合は蛍光灯の方が13W程度省エネとなるので、おそらく年間で1,000円程度のコスト安になると思われます。
年間4000時間運転したとして寿命を迎えるのは10年。結果、1万円ほど蛍光灯の方が経済的という結果となりました。

つまり、現状で照明器具を買い替えるなら、まだLEDよりも蛍光灯の方という結果となります。

  • LED照明は本当に買いじゃないの?

必ずしもそういうわけではありません。今はまだ買いではないというだけです。

例えば、今回器具光束は「5750lm」でした。

次にこちらをご覧ください
器具光束:5,870 lm
消費電力:49W(100V)
今回紹介された製品と比べて、ほぼ同じ器具光束でも24Wも消費電力が小さいのがおわかりになるでしょうか?

値段がバカみたいに高いのですが、LEDの最新の能力としてここまで来ているのがわかります。
LEDの効率の推移をチェックしている身としては、毎年10m〜20lm/Wほど性能が良くなっているという感じです。
つまり、LEDは成長途中の照明器具なので、今勇み足になって購入するのは損であるという事です。

個人的には2020年あたりがLEDの性能の限界点とみています。(器具光束で180lm/Wあたりが頭打ちじゃないかなとみています)
逆に蛍光灯照明器具のエネルギー効率の性能は今がピークで、今後はLEDに押されていき、価格はもっと下がっていくという予測です。
(今回比較として紹介している蛍光灯も、激安店では12,600円とAmazonよりも二千円も安いですし)

仮に今後、LEDの消費電力が下がり、蛍光灯との差が10Wとか20Wの場合でも、年間でも1000円〜2000円程度の差しかありません。
でもそういう最新型LEDシーリングライトは高いですよね? そのころの蛍光灯照明器具の値段はいくらでしょうか?
 しかも3年もすれば、同じお値段でそこからさらに10Wから20Wも安くて効率の良い、下手をすればスマートフォンと連動及び部屋の明るさ分布状況を調査して、LEDチップの一部区画を調光し、均一性の高い照明器具で、昼間でも部屋の窓際と奥側との明るさに差を作らない。
そんな照明器具が発売されているかもしれません。

まだ言えば、LEDは最新のTVにもあるように、バッテリーを搭載してピークシフト機能が付くかもしれない。*4LEDは直流駆動が基本なので、バッテリーとの相性は非常に良い(蛍光灯のように交流点灯ではないため)


とりあえず付加機能的な問題は置いておくとしても、LEDの方が省エネ効果が高いとしても、価格差も含めて考慮した場合、まだ1年か2年くらいは蛍光灯の方が経済的にもよいでしょう。というわけです。


以上。
■関連記事:LEDシーリングライトの効率が笑えるほど悪い件について

*1:厳密にはそこまではない

*2:意味がないので

*3:2Wじゃぁねぇ・・・

*4:そのころにはバッテリーの性能も上がって価格も下がっているでしょうし、バッテリーで100%電力をまかなう必要も必ずしもない