「汚染の予防」具体的には?

ISO14001の規格に記載されている「汚染の予防」の範囲とか予防とか、具体的に何をどうする事を求めているのか、どうにもわかりづらいので、検証してみます。
まず、規格では以下のように定義づけられています。

3.18 汚染の予防(P47)
有害な環境影響を低減する為に、あらゆる種類の汚染物質又は廃棄物の発生、排出、放出を回避し、低減し、管理する為のプロセス、操作、技法、材料、製品、サービス又はエネルギーを(個別に又は組み合わせて)使用すること。


参考
汚染の予防には、発生源の低減又は排除、プロセス、製品またはサービスの変更、資源の効率的使用、代替材料及び代替エネルギーの利用、再利用、改修、リサイクル、再生、処理などがある。

「汚染の予防」は、規格の序文

1.序文(P17)
この規格の全体的なねらいは,社会経済的ニーズとバランスをとりながら環境保全及び汚染の予防を支えることである。

具体的な要求は、

4.3.3 目的、目標及び実施計画(P57)
目的及び目標は,実施できる場合には測定可能であること。そして,汚染の予防,適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項の順守並びに継続的改善に関するコミットメントを含めて,環境方針に整合していること。

また、環境方針にも汚染の防止について、記載を要求しています。

4.2 環境方針(P51)
b)継続的改善及び汚染の予防に関するコミットメントを含む。

という物です。
これだと、なんじゃこりゃ!? ですから、もうちょっとわかりやすく加工してみます。

加工前
目的及び目標は,実施できる場合には測定可能であること。そして,汚染の予防,適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項の順守並びに継続的改善に関するコミットメントを含めて,環境方針に整合していること。
加工後
環境方針には、汚染の予防に関してコメントする事。 目的及び目標は,環境方針に整合していること。
だいぶすっきりしました。
つまり、「汚染の予防」に関する実務としては、

目的・目標を設定する場合は、検討項目に「汚染の予防」も入れておけ。

ってことのようです。
とはいいつつも、「目的・目標を設定する為の手順を定めろ」「目的・目標を設定に関しての手順を文書化しろ」なんて要求されておりません。
(文書化を要求されているのは、設定された「目的・目標」であり、目的・目標の設定手順書ではないのがポイント)
 また、不思議な事に「目的・目標」のレビュー時には「汚染の予防」が除外されているという事。つまり、目的・目標をレビューする時に「汚染の予防」については考慮を要求されていないわけです。




結論


汚染の予防は、PDCAサイクルの、「P」の部分のみ発生。
しかも、要求は「方針との整合性」のみ。つまり、方針で宣言している「汚染の予防」に則していれば良いだけで。




なんか、妙な気もしますが、まぁ、規格でそうなっているんで仕方がないっすね。