「不適合事項:審査員の力量」となった場合、どうすれば?

まず結論より
「認証を返上する」








すべての審査員が――――とはいいませんが、外部の審査機関に所属するISO審査員及び組織に所属する内部の審査員の力量について、不適合(力量不足)と判断し、その為の是正及び予防処置について考える事を目的とします。





外部審査員の力量ってどんなものよ?

より





審査員が審査員である事を保持する為には、年に規定数(確か二回だったと記憶)の審査を実施すればよい。という状況です。

すべての審査機関の審査員の審査回数までは分かりませんが、うちに来ていただいている審査員の場合は週に一回〜2回程度、審査を実施しているそうです。

なので、年の三分の二は出張三昧だそうでして、かなりハードな仕事でしょう。

注意すべき点は、監査員の仕事は事務仕事ではありません。現場の仕事です。数キロもするノートパソコンと旅行バックを持ち歩いているんです。しかも出張範囲は全国。



なのでみなさん、このように忙しい審査員は労わってあげましょう。



で、その様に忙しい状況の審査員にとって、自身の審査内容の適切さを振り返る余裕なんてあるんでしょうか?



力量不足、結構です。

こんなに忙しい審査員の力量を保持し続けることは難しいと判断しています。

その理由は、組織ごとにEMSの内容は違うからというのが大きな理由です。

ISO14001の規格その物の問題(不適合の原因の一つ)でもありますが、この規格は汎用性を高める為に、評価方法も含めてその中身はほとんど組織が作るからです。



組織ごとに、公式と解が違うのですから、審査員にとっては非常にやりにくいでしょう。

コンサルティング会社やセミナーで教えているISO14001とはこうだ!!」みたいな、物差し定規で教えていますが、現実にはこうはいきません。



そんな、物差しもない状況で様々な組織のシステムを見て、聞いて、評価しているのです。

結果として、審査員は経験を積めばつむほど

・「自分の中のISO14001像を構築し、それを物差しとして審査し、構築された価値観で観察事項を出す」

・「物差しを使わず、なんちゃって審査」

という、力量不足になってしまうのが実情だと判断します。



さて、その場合のISOで言う所の「不適合の原因」はどこにあるのでしょうか?



審査後の観察事項は然るべき所(たぶん、日本適合性認定協会と思われ)に送られ、そこで適切かどうか確認されるそうです。



そこで問題になっていない。

ここで注意してほしいのは、審査員の所属する会社は「認証サービス事業者」であること。別の言葉で言うと「認証検査機関」であり、「認証を取得できるかどうかを検査するのがお仕事」であって「認証を与える」のがお仕事ではない点です。(認証を与える場所は認定機関)



なんでこんな状況なのかというと、認証を与えた会社が不祥事を起こした場合、「日本適合性認定協会」が責任を取りたくない為、「認証検査機関」というのを間において、責任を「日本適合性認定協会」ではなく「認証検査機関」になすりつける為です。

はっきり言って、馬鹿らしいです。

ぶっちゃけ、ISOの認証をとらなくても、「認証検査機関」から「検査合格証」を発行してもらえば、十分事足りるという状況です。認定機関から認証を貰う意味がない。



話がそれましたので戻ります。



不適合の原因は、いろんな所にあるでしょう。

ですが、その中でも最大の原因(癌)は、間違いなく「認定機関」にあります。

なぜなら、審査員の審査報告を読んで「良」としているのであれば、審査員は自分の審査に問題を持つはずがありませんから。



他に考えられる原因は「費用対効果」でしょう。

企業が審査員から審査をうけ、その内容について「異議申し立てを行い、最悪認定機関に問い合わせを行う」という労力を払う。

その為の労力と時間(労務費)を考えれば、マイナーでもメジャーでもない「観察事項」なんてほおっておいて、「組織の判断の結果、現状のままとする(観察事項の対応はしない)」とした方が、お金がかかりません。

組織の決定に、審査員は文句を言う事は出来ませんし、そもそも「マネジメントシステム」です。「経営」って乱暴な言い方をすれば、「お金のやりくり(運用)」ですから、「金はかからない方がいい」というのは「経営者として正常な判断」ですから。



「経営者として正常な判断を行う事が、不適合の原因である」となり、「お金がかかっても、審査員と審査機関に異議申し立てを行うこと」が「審査員の力量不足という不適合の是正処置」となります。



書いててアホらしいなぁw



真面目な話、審査員の力量不足の原因をどんなに追求しても、現実味のある「是正」や「予防」はうてません。というのがファイナルアンサーと認識しています。



それを実施するのは検査機関と認定機関側ですが、彼らが「自分たちが間違っていました」なんて「間違っても言うはずがありません」

だって認証機関は上記で言っているように「責任を検査機関に押し付ける」という行動しかとらないでしょうし、検査機関としてもそんな事を云えば、会社の信用問題となってお客さんが減るからです。



よって、この原因に対して「組織が取れる唯一にして現実的な是正及び予防処置」「認証の返上」だけだと、私は認識しています。
それに、審査員の力量不足を審査員だけの問題にするのは酷ですし、仮に審査員を問題にするとすれば、まずは審査員として認定証を発行している組織が「適切な教育を実施出来ていない」ということですから。
(この場合は、審査員として力量があるとして判断しているフローに問題があるのでしょう)