不適合事項:事務局の力量

審査員ばかりではあれなので、事務局の力量についても考えてみます。

そもそも、事務局に求められる要求はなんでしょうか?
FAQ方式で考えてみます。

Q.ISOの規格に対する理解が必要ですか?
結論から言えば必要ありません。ただし、この結論は「理想的な物」です。 本来必要なのは「組織のEMSの仕組み」であって「ISO」ではありませんから。
現実的な見地から言えば、外部の審査員以上の理解が必要です。 外部の審査員の力量が不足しているから、代わりに事務局が深い理解を必要とします。
 理由は、力量不足の審査員の指摘事項に対して、適切な回答が出来ないからであり、それが出来ないのであれば「本来不必要な、事務を含めた様々な新規の業務が発生する(記録や手順も増えます)」 つまり、審査員の発言に対して反論できないという事は、たとえ間違っていたとしても「審査員の言う事は正しい」ので「審査員の指摘通りの事を実行します」という結果となる為です。
組織の為のEMSであって、外部審査員の気に入る、イメージするEMSではないという事です。
 事務局の本来業務は「組織の運営しているマネジメントツールを運営する上での、諸事務を担当する部局」であり、究極的にはISOなんてどうでもよいのです。
最悪、みんなで手分けして業務をするなら、事務局も必要ないでしょう。(それでも窓口的な人は必要になりますが)
Q.法律について理解する必要がありますか?
「法律の事は弁護士に任せておけ」というのが、私の持論です(笑)
現実はそうはいきませんが。

法律を暗記する必要はないでしょう。また、そこまで詳しくなる必要もありません。(司法試験を受けるわけでもあるまいし)
中には、詳しくなければならないと発言される方もいらっしゃいます。
ですが、詳しくなくて構いません。知らなくて十分です。
事務局に本当に必要なのは「法律を調べる能力」だけです。

法律を調べた結果、その法律で要求されている事は何か? 組織は何をしなければならないか? というのを調べるだけです。 その内容について覚える必要はありません。内容はメモをすればいいのですから。
なので、何月にどういったイベントを行わなければならないのか? 何月になにを届けなければならないのか。というのをチェックできるようにしておけばよい。
新規業務や新規作業が発生した場合、なにをチェックすればよいのか?
それだけ抑えておけばよいのです。

というのが、持論ではありますが、私の見解です。
Q.事務局の仕事ってなんなの?
一言でいえば、PDCAサイクルを回す/回させること全般です。
ですので、事務局という物が無い組織も存在します。
ISO14001は、兎に角「組織が自主宣言している事」に関して、「記録」を要求していますので、その記録を取りまとめる必要があります。
また、システム文書の様な資料は存在するので、その資料及び資料の内容を管理する人が、事務局に該当するでしょう。(事務局というグループが存在するかどうかは別として)
Q.事務局のある組織と無い組織の違いは?
組織の規模より、人を別途雇う程の業務量が無い様な所や、オフィスのみの部門、課や部門全体で業務が分散している組織等が該当します。
事務局が存在する部門の例は、EMSを運用する事になった時、新たに業務や活動が発生したのに対して、監視・測定を各部門の人間が実施せず、専用にそれを行う人が必要になるような組織(職員が協力的ではない組織にありがち)

省エネ法を例に挙げれば、「エネルギー管理員」がEMSで言う所の事務局(環責になる場合もある)に該当する事でしょう。
組織の中には、環境管理責任者の業務を、部下(事務局)が実施しているような所もある事でしょう。
個々の詳細においては、事務局の業務がどこまでなのか分かりませんので、以上が大まかな事務局の業務範囲とします


で、それらが問題なく出来ていれば力量として十分であり、出来ていないのであれば「不十分」となります。




まぁ、実質「事務局の力量が不足している」という事になる場合は、その原因は「内部監査員の力量が不足しているから」という可能性が非常に高いですけどね。
ちゃんと「システム審査」が出来てないから、事務局の力量の問題が出てくるんですから。




でも、そうなると「内部監査員研修コース」を実施している会社が、きちんと研修を行えていないのに修了証を配布しているのが原因ってことか?w