目的・目標の設定

ISO14001では、毎年度エネルギー使用量を年1%削減(平均)しろ、とは要求されていません。
しかし、目的、目標を設定して環境プログラムを実行し、維持しろとは要求しています。


ISO14001とは、組織の事業活動の実施に関係なく、環境に関する活動を実施しろと要求している規格であることが分かります。


ただし、附属書の方に「経済的に実施可能であり」(技術上の選択し)とあります。
なので、必ずしもお金を出して設備を回収したり、人件費を消費して細かい節電をしたりする必要は無いという事です。
また、実施効果が確認できないようなものまで、目的・目標に設定しろと要求していません。


例えば、昼休みの消灯ですが、消灯した結果、どの程度の削減効果が見込めるのか?という部分は、計算値で求める事は可能ですが、実際の削減効果は不明です。
分電盤に電力計でも設置すれば可能でしょうが、費用をかけてやるものではない。


コピー用紙の使用量削減についても同様です。
購入量から測定できるのでは?と思われがちですが、用紙の使用量なんて「会社の経済活動に影響を受ける」という部分は無視できない。
その経済活動の影響をどの程度受けるのか算出できますか? 算出できるのであれば、「測定可能」と言えますが、現実は「測定不能」です。


以上より、節電や用紙の削減等は本当は「目的・目標」としては不適切となります。




もちろん、お金をかければできなくは無いのでしょうが、「費用をさらに掛けてやれ」とは規格では要求していません。
「経済的に実行可能であり」と言う前提がありますから。




審査員の中には「測定方法を代替すればよい」的な事を云う人もいます。
ですが、その「代替」で目的の趣旨である「エネルギーの使用量削減」や「用紙の使用量削減」の「削減量」を測定できるのか?が重要となります。
結局、代替測定ってのは、「自分たちのやっている事を自己満足する為に行う」でしかありません。


じゃぁ、何を設定すればよいのでしょう?


 私自身も考えて答えが出せてませんが、要求事項では「コンプライアンスを順守しろ」とは要求されていませんが「方針にコンプライアンスに関する事を公約しろ」と要求してるだけです。*1


 なので、法的に要求されている「義務」を項目に設定し、管理を行う以上の事はしなくても良いのではないか? と思っております。
できれば「著しい環境側面」と組み合わせたいので、「著しい」の基準は法的要求の中でも「義務」であり「罰則」になるものとし、「努力」は「著しい」の基準外とするようにしてしまえば、著しい環境側面と環境の目的目標はイコールとなり、規格の要求を満たす結果となります。
義務を要求する法律には、数値算出する方法も記載してますし、それを準用すれば算出方法の客観性は証明されていますので、審査員等から数値の客観性云々について文句は出ませんし。




以上より、ISO14001をまじめに取り組むのであれば、法律要求以外の目的・目標を設定して取り組まない事こそが、真の環境活動となります。


えっ? それは変?
いいえ、人が活動することこそ、環境に悪いのですが、「プラスの活動」を行う事こそが、環境負荷となるのです。
だったら、その「プラスの活動」を抑制又はおこなわないことで、環境負荷を低減する事になります。


それでも「やりたい。やるんだ」と言う方がいらっしゃるなら、規格で要求されている「費用対効果」(P119)を頑張って満たしてくださいね。(あなたの人件費もちゃんと含めてね)

*1:法律を守るという宣言しろではなく、法律に関する事で何らかの宣言をしろというだけです。宣言内容が順守を約束するものではないのがポイント