ISO事務局の所掌範囲 一般要求事項変

ISOの所掌範囲。

つまるところ、ISOを認証する事になり発生した新たな業務について考えてみます。
ちょうど手元に14001:2004規格があるので、これを開いて要求番号順に見てみます。

まずは一般要求事項から。

 環境マネジメントシステムの確立がまず挙げられます。
文書化しなければならない点や、継続的に改善させなければならない点なども十分「ISO業務」と言えるでしょう。*1

改めてみると、そもそも「適用範囲を決める」ってのが変ですよね。
一部を切り抜いた範囲で決定しても、「直接影響」とか「間接影響」とか言って定めた範囲を超えて事業活動範囲をシステム活動範囲にしようと画策しているのですから。

確立化させることによるメリットは存在しません。まぁ、本来やらなければならないマネジメント項目の抜けチェックにはなるのかもしれませんが、抜けているかどうかの判別の難しいのが実情でしょう。
品質なら、原因不明の不具合が発生し続ける又は不具合が一向に減らずに歩合が悪い状態が続いていると言うならシステム化又はパッケージ化は「見える化」としてメリットはあるんですが、、、
環境活動を実施する上では全くメリットはなく、審査時に審査員や認定機関等が「やりやすくなる」以上の物はないでしょう。

この要求で曲者なのが「どのようにしてこれらの要求事項を満たすかを決定する事」と言う一文です。
これは、組織の自主性を重視するが、組織に対してその責任を問う意味を持つ物であり、認証及び登録と言う制度を事実上無意味にしてしまう結果を招いてしまった部分でもあります。
理由は、全部自己責任でってことになるからです。
機関が一切の責任を負う必要も負う事も出来なくなってしまっている事に、規格を定めた各国の事務局が気がつかなかったのは落ち度でしょう。
登録機関の減少は何も信頼性が低下した結果だけでなく、登録しようがするまいが、マネジメント上まったく意味が無い事が理解されてきているからです。

この件についてはISO14001及びISO9001が発端ですが、他のISO規格についても同じである事を理解している経営者は、規格本を購入してシステムを導入する事はあっても登録する事はなくなる事でしょう。
顧客が規格の要求事項を満たしているかどうかの客観的証拠の提示を求められたら、審査機関に審査してもらうなり、コンサルティング会社に審査してもらうなりで十分代替できるのです。

もう一度主張しますが「登録する」というメリットは全く存在しないのは、この一般要求事項にて規格が自ら明確に保証した事実であります。

本項目については、「システム化」「文書化」「適用範囲の決定」及びそれらの維持運用が「ISO業務」として位置づけられることがわかりました。
つづく?

*1:ISO9001との整合が図られた結果でもあり、1996年度版には存在していなかった