ISO事務局の所掌範囲 4.4.2 力量、教育訓練及び自覚変

そろそろ息切れしてきたISO事務局のISO業務範囲調べ
本日は、力量と教育訓練に関してです。

まず、規格の要求範囲を明確化しますと、下記の様な表となります。*1

  ISO14001(JIS Q14001):1996 ISO14001(JISQ14001):2004
力量(能力) 著しい影響の原因となる作業者 著しい影響の原因となるすべての作業者、記録の保持
教育訓練 ニーズ特定/訓練実施、著しい側面関連作業者、記録の保持 ニーズ特定/訓練の実施、処置EMSの要因、記録の保持
自覚 従業員又は構成員 EMSのすべての要因

規格の変更に伴い、対象となる範囲が拡大されているのが特徴です。
拡大された分だけ「ISOの業務範囲の拡大」と言う結果となります。

個人的な事を言えば、これに関する対応はすべてISO業務であり、本来不要な業務である。と言う認識です。
三項目に分けてそれぞれ記載します。

力量
規格で要求している「力量」について、「法的な資格」や「講習会の受講」等と認識している場合は非常に残念です。
要求事項をきちんと認識すると「作業」と限定されています。
そして、その前の要求で「組織によって特定された」そして「原因となる」と絞り込まれています。
つまり、「電気の使用」を「環境に著しい環境影響を与える」として「特定してしまった」組織であっても「パソコンを使用する際に消費される電力量」が、「著しい影響を与える原因」として関連付けられていなければ「要因」どまりであり「原因」ではないと言う事です。

また、この「力量」ですが、訓練や教育又は資格や経験を必要とする「難易度」を保有しているかがポイントとなります。
力量と言うニーズを組織が要求しなければ、それは必要ないのが当然です。
そしてニーズや力量を必要とすると決定した場合、それはISOの都合で決定したと言う典型的なISO業務に位置づけられます。

危険物を管理する為に必要な能力として「危険物取扱者」があります。
しかし、この規格で要求している「力量」とは、そういう事ではありません。
根拠は「著しい環境影響の原因となる可能性を持つ作業」と限定されているからです。

ここで言う力量とは、「著しい環境影響の原因」に対して「組織で決定した追加作業」を適切に実施する為に必要な「能力」を洗い出し、能力を満たすための「力量」が必要と判断された時、
適切な教育、訓練又は経験に基づく力量を持つことを確実にすると言うものです。
そして大抵の組織で実施している「組織で決定した追加作業」に対して、特殊な作業等は発生しないものです。

教育訓練
教育訓練とは、力量を保持を必要とするか?追加で作業するかどうか?力量の保持の為に教育訓練を必要とするかどうか?などの考察していたった結果に該当します。
ようは、力量の保持を教育訓練として提供しなければ証明できない場合に代替する手段であり、殆どの事業者はこのケースに該当します。

本来は、緊急事態対応者は、「酸素濃度計」を含む「安全器具の使用方法を理解しているか?」、AEDの使い方を理解しているか?
などを確認し、理解していなければ理解させなければなりません。

本来、この部分の教育訓練とはこのような事柄であり、力量も本来はこのような意味合いの筈ですが、実態は・・・・・・・・。
自覚
規格の変更背景を見れば一目です。
自覚など不要なのですが、ISOの規格制定従事者の思惑で存在する「ISOの余分な業務」に該当します。
ISO業務の中でも悪質の部類に入るでしょう。
会社の入り口に環境方針でも掲げておけば十分だとは思うんですけど、「自覚まで記録を必要と解釈する」審査員が存在する為、様々な事業者では苦労しているところと思われます。

審査員「正しく理解されていることを証明しなさい」(記録の保持)
審査員「正しく理解されていると言うことを確認しなさい」(効果の確認テストの実施)
人件費だってバカにならないっつーの

以上まとめ

項目の対応方法のすべてが「ISOの業務」として成立している。

唯一例外なのが、緊急事態の対応者の力量をきちんとニーズとして特定して推し量る仕組みになっている場合のみである。
この項目は緊急事態の要求事項と連携すればそこまで変ではないのであるが、要求事項の番号が別である為、連携が図られていない事業者は非常に残念である。

その点も踏まえて見直しを図れば、「ISOの業務」から脱出できるでしょう。
連携した後の記録は、地元の自治体や消防署、警察署、保健所などに提出する記録としても有効に活用できるようになるのですから。

以上

*1:要求事項の解説より