「組織の活動、製品又はサービス」の意味

今回は「環境側面の解釈について」の続きになります。

規格要求の「3.3環境側面」には

1996
環境と相互に影響しうる、組織の活動、製品またはサービスの要素
備考 著しい環境側面とは、著しい環境影響を持つか又は持ちうる環境側面である。
2004
環境と相互に作用する可能性のある、組織の活動又は製品又はサービスの要素
参考 著しい環境側面は、著しい環境影響を与える化又は与える可能性がある。

このように記載されてます。

環境と相互に作用する可能性のあるとあるので、現在、環境に影響を与え続けている物については対象外で良いのね。っていう突っ込みは本日の議題ではないので割愛します。

規格要求の解説本ではこの部分については下記のように書かれています。

P43
(前略)一つだけ注意しておきたい事がある。それは側面の要素に関する記述である。後から述べるが環境方針の項でも、この表現は1996年番の“活動、製品又はサービス”を“活動、製品及びサービス”に変えた。
この場合の表現は、この三者の間に選択性を認めないという趣旨である。(後略)

選択性を認めないのなら、すべてに該当しなければならないのか?と言うのは前回語りましたのでこちらも割愛します。

では次に、規格の附属書Aを見てください。以下の用に記載してあります。

P107
組織は、製品、部品又は原材料投入までをそれぞれ個別に考慮する必要はない。環境側面を特定する為に、活動、製品及びサービスのカテゴリーを選択してもよい

これの意味する所は、、、もう分かりますよね?

カテゴリー 活動・製品・サービス
事業内容A 活動
事業内容B 製品
事業内容C サービス

このようにして良いというものです。

例えば製品を作る場合、プロセス分析なる物を実施する事業者もいます。

プロセス名 フロー 環境側面(通常) 環境側面(非通常)
加工品A 部品の購入⇒加工 モーター運転等電動機運転による電力の使用 不良品の発生による損失
加工品B 部品の購入⇒加工 洗浄作業による化学物質の使用 薬品取扱不備による漏洩
加工品C 原料の購入⇒加工 原材料使用による資源の使用 原材料配分ミスによる損失
加工品D 加工品A+加工品C 空調管理による電気使用 在庫管理ミスによる損失
加工品E 加工品D+加工品E クリーンブース私用による電力の使用及び消耗品の発生 清浄度管理ミスによる不具合品の発生による損失
製  品 加工品E⇒梱包⇒出荷 運搬によるエネルギーの消費 出荷数ミスによる損失

(例はかなり適当です。また、当事業所で実施している方法とは違います、、、が、例の方がまだ良いと思えるくらい、コンサル指導の手法で実施しています)
附属書では、このように細かくやる必要ねーぞとおっしゃってます。

一連の流れは項目名として「事業内容A」とし、その中でカテゴリーは「製品」分類され、活動やサービスは無視して、製品の中で関係する環境側面を洗い出す形でOK。と言う内容です。
上の例で言えば、製品を作る場合のインプットとして、「資源」を使いますよね。そして「電気」を使いますよね。「化学物質」を使いますよね。アウトプットとしては「廃棄物」が発生しますよね。「排水」は発生していませんから対象となりません。「熱」や「騒音」や「悪臭」についても、発生するのであれば対象として良いと思います。
よって、「事業内容A」の環境側面は「資源、電気、化学物質、廃棄物、etc」の主に4点が「環境側面」であり、その中で「著しい」のはどれか決定してね?と言う内容。

事業内容によっては「活動」と「製品」の二つのカテゴリーが該当するケースや「活動」と「サービス」が該当するケース、「製品」や「サービス」が該当するケース等様々でしょう。
業種や考え方では「サービス」という「製品」を取り扱っている認識もあるからです。

ですが、これは「活動、製品、サービスのどれかの視点で考えれば良い」と言うものです。二種類の視点で個別にやる必要はありません。

ここで重要なのは、
事業内容は「活動」と「製品」に該当するが「サービス」に該当しない。そして、環境側面を洗い出す時、カテゴリー「サービス」に分類して「環境側面ありません」とする場合が許されるかどうか?と言う所でしょう。

気持ち的には許されないなんですが、要求として明確化されていない為、組織の自主性に任せられた部分に該当するのではないのか?と考慮します。
この辺りのカテゴリー分類を「ミスである」として誘導するのが審査員の腕の見せ所かもしれません。まぁ要求が明確であることを示せなければ審査員でも無理でしょうけども、、(前記事の「or」の考え方を示せば簡単なんですけどね)

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