外部文書の取扱方法の決定は必要?

最近の話ではないのですが、私がEMSの事務局になった当初の話です。
過去に組織が規定した外部文書に関して二度ほど機会の改善を頂いている経験があります。

事前情報として申し上げると、当方の事業所にやってくる審査員達の共通見解として「確実にする。」という文言についてですが、これの解釈は「文書化されていなければならない」というものがあります。

監査法人の説明の場合は、「文書化された」と要求されている物及び「組織が必要と判断した物」だけで十分(記録についても同様)という見解でした。

規格P70
4.4.5 文書管理
f)環境マネジメントシステムの計画及び運用のために組織が必要と決定した外部からの文書を明確にし、その配布が管理されている事を確実にする。

この要求事項は1996年度版にはなく、2004年度版から新たに追加された項目です。
9001と違って「EMSの計画及び運用の為に組織が必要と決定した」と範囲が限定されているのが特徴でしょう。

なお、日本規格協会が出している「要求事項の解説」では、この部分はこの内容が意味する所の解説はありませんでした。


指摘前については、下記の一文のみがEMSに記載されており、配布に関してその一切は事前に決定されていませんでした。

改訂前
EMSの運用に必要な環境に関わる法的文書等の外部文書(水質検査結果、消防署の査察等)については外部文書として管理する。


この改善の機会を頂いた当社の対応は以下の通り

機会の改善指摘事項
EMS文書一覧表には、内部文書のみが登録され、外部文書が記載されていません。
一方、外部組織の文書は貴組織で外部文書と規定されております。
よって、文書一覧表に記載し登録し、配布管理を確実にしておくのが適切と思われます。
ご見解を提示願います。

このような指摘があったので、下記の一文を追記しました。

改訂
外部文書は環境マネジメントシステム文書一覧表には明記せず、識別し事務局が保管する。保管した外部文書の管理は文書担当が行う。

またこの時、「水質検査結果、消防署の査察等」等の文言は削除し、外部からの文書の決定は環責が行う形に変更しました。

ところがこの指摘を受けた同じ年、内部監査員により

内部監査指摘事項
外部文書の定義が曖昧であり、定義を明確化して分かりやすくする改善が必要です。

という感じで、「何を外部文書とするのか事前に決定しておけ」というもの。
「新たに外部文書として登録する場合は、文書を改訂せよ」という意味も含みます。

ちなみに、指摘した内部監査員の所属は当事業所であり、所属部門はEMS運用部門であり、担当業務はEMSの運用全般です。(つまり、事務局に該当する人)

(内部監査前より指摘内容について必要だと主張していたのを「なんでですか?」という私の質問に回答がなかったので、放置していた背景もあったりしますがw)

改訂
外部文書はEMS文書一覧表には明記せず、別途一覧表(様式◎◎)で識別する。
原本の保管は事務局が実施し、配付については文書管理規定に基づいて担当者が行うものとする。

という一文と共に、具体的に「外部文書を事前に決定した一覧表を作成」しました。


その後、再び来訪した審査員により下記の様な機会の改善を頂きました。

機会の改善指摘事項
外部文書の特定及びその配布管理方法を明確にすることが望まれます。

これは非常に悩みました。なにしろ当事業所では
外部文書を社内に配布した実績が存在しないからです。

正確にいえば、「管理が必要と判断された」ですが。
(ポスターなども「外部文書」に含めると該当するため。また、ポスター系はEMSではないが取り扱い手順が存在する)

改訂
外部文書の配布は環責が決定する。

この文言と共に、配布の手順も定めました(そこまで審査員より要求されていた為)







この頃は、ISOの規格なんてよくしらなかったし、興味が無かったから事務局に言われるがまま文書を改訂していました。
いまなら、もっと別な方法をとるんですが、、、、現状、この文書は放置しております(配布の実績がない、今後もないので、放置した方がリソースを消費せずに済むので)

当事業所の場合、敵は審査員閣下ではなく、身内の事務局だったりします。
審査員閣下の場合、指摘事項は「検討します」と言っておけば済むんですが、身内はそうもいかないからw

今なら、「外部文書は、協定書などを含む相互に同意された文書であり配布しない」と決定しますかね。
言い方を変えると『その他の要求事項』に該当する文書類なんですけど。

この手の話題で驚いたのは、他事業所はJIS規格なども外部文書にして各部門に配布してた。
という点です。
すごいなぁと思いますけど、アホだなぁとおもいますし。